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彩り豊かな、九谷焼の魅力 -やきものを愉しむ-

 

日本には、その土地に根付いた様々な焼き物があります。

毎日のように手にとって使う焼き物は、昔から暮らしに欠かすことの出来ない存在でした。

その土地で採れる原料や作る人によっても、さまざまな形を成してきた焼き物。

やきものを愉しむシリーズでは、3回に渡って多様な焼き物をご紹介します。

 

◇九谷焼のはじまり

 

石川県生まれの華やかな焼き物、九谷焼。

今では九谷の名が世界で知られるほど、日本を代表する焼き物の一つです。

 

さかのぼること江戸時代、前田家が治めていた加賀藩の九谷村で

良質な陶土が採掘されたことをきっかけに、

その土地で製陶の技術が導入されたことが九谷焼の始まりと言われています。

 

加賀百万石の財力と当時の政策があいまって、

全国各地からさまざまな文化人が石川県の地を訪れていたこともあり、

九谷焼は京都の狩野派の画風やはたまた海外の画風からも影響を受けていたのだとか。

多様な文化の影響を受けたことで、「九谷焼」と聞いてイメージする、

大胆な筆致で、華麗な色彩が施された焼き物が作られていきます。

 

しかしながら、1700年頃に上記で紹介した九谷焼(古九谷)は

突然廃窯となってしまいます。その理由は定かではないのだそう。

その後、1800年頃に加賀藩の政策により京都の文人画家が招かれ、

新たな窯が開かれたことで、金沢の地に多数の窯が作られていくようになり、

現在に繋がる九谷焼の再興となったのでした。

 

◇九谷焼を知る

 

県をまたぎ、国境をも超えてさまざまな影響を受けてきた九谷焼。

一時は廃窯という危機があったものの、

開窯から400年もの時を経て今なおその名が知られているのは、

焼き物そのものの魅力があるからと言えるでしょう。

 

九谷焼の特徴というと、まずその色彩にあります。

色絵(いろえ)磁器と言われる九谷焼は、

本焼きした磁器の釉薬の上に絵付けを施し、再び焼成を行っています。

鮮やかで深い色味、そして大胆な筆致で描かれた絵付けは

昔ながらの絢爛な九谷焼を象徴する特徴です。

 

 

宮本泰山堂(みやもとたいざんどう)は、

明治42年に石川県小松市に開業した九谷焼窯。

一般的に、五彩(緑・赤・黄・紫・紺青)で絵付けを施す九谷焼ですが、

宮本泰山堂は、生地の色である白磁を加えた六彩でその優美な彩りを表現しています。

 

上記はつばめが飛ぶ楕円のお皿。

青色の絵付けをベースにしたつばめ皿は、よく見ると緑色と黄色の絵付けが。

青色の濃淡だけでなく、ほかの色がアクセントになることで

より食卓に置きやすい器となっています。

宮本泰山堂が目指す、「使って楽しい器とは?」を表現しているかのようです。

 

 

 

また、宮本泰山堂の器の特徴は彩りだけでなく、絵画のような美しいモチーフの絵付けです。

九谷焼は、古くから植物や動物のいきいきとしたモチーフが好まれ、描かれてきました。

宮本泰山堂も、その古き良き伝統を守るかのように、

細い筆で繊細なモチーフを描いています。

 

山水絵替り角小皿 5枚は、山水をテーマに5枚の異なる絵が描かれた小皿。

水面に佇む舟、空を舞う鳥たち。その繊細な表現で、

まるで日本画を見ているような気分になります。

八角花紋小皿 5枚セットもまた、5種類の異なる花々が描かれた小皿。

ひなげし、ドクダミ、くろゆり、ナデシコ、ききょう。

花の季節に合わせてお皿を使い分けるのも素敵です。

 

 

こちらは、明治12年に創業した上出長右衛門窯(かみでちょうえもんがま)。

同じく代々九谷焼を作り続けている上出長右衛門窯も

宮本泰山堂同様、白磁に深い青、赤、緑、黄といったカラフルな染付、

そして美しく楽しげなモチーフが目を引きます。

 

 

職人たちの自由な発想で生まれるという

上出長右衛門窯(かみでちょうえもんがま)の製品は、

モダンで、ちょっぴりユーモアを感じるものも多いのが特徴。

昔ながらの焼き物だからといって、億劫にならずに手に取ることが出来る。

上出長右衛門窯(かみでちょうえもんがま)の器には、そんな魅力を感じられます。

 

梅蓋物 紅白は、ぽってりと肉厚に作られた小さな入れ物。

紅色と白色で全体を覆い、最後に金粉で仕上げられた様子はとても艶やか。

小さな蓋物ながら、九谷焼の華やかさを伝えてくれます。

 

職人が手描きで作っている湯呑 笛吹は、

上出長右衛門窯(かみでちょうえもんがま)で60年描き続けられているというモチーフ。

白磁に映える青色を使って描かれた笛吹きは、職人の繊細な筆致が表れています。

こうした素朴絵は、室町時代から庶民のために禅画や俳画で描かれてきた歴史もあり、

人々の暮らしに馴染んできたのだとか。

機械生産にはない、職人の手作りだからこその味わいが分かりますね。

 

◇九谷焼を使う

 

伝統の九谷と言うと仰々しいイメージがあるものの、

宮本泰山堂、上出長右衛門窯とも、現代の暮らしで気兼ねなく使えるように、

親しみやすいモチーフ、モダンな雰囲気を感じさせる色使いなど、工夫が凝らされています。

 

 

昔ながらの酒器はひょうたん型であったと言いますが、

上出長右衛門窯の把手付徳利 線文は、さらに把手を付けたタイプ。

把手を付けるだけで、まるで花器のような洗練された形になり、

さらに表面の鮮やかな色合いが、華やかさを添えてくれます。

同じく把手が付けられた把手付盃とご一緒に、お酒を酌み交わすのも楽しそうです。

 

 

 

宮本泰山堂のぶどうとリスの舟型向付は、

秋の色を感じさせる渋みのあるトーンで統一されており、これからの季節にぴったり。

「向付(むこうづけ)」とは、自分の手前に置くご飯茶碗とお椀の

向こうに置くお皿のことを指しています。

懐石料理ではお刺身を盛り付けることが多いようですが、

程良い深さと大きさがあり、おかずを入れるのにちょうど良いお皿なので、食卓での出番も多くなります。

 

また、その華やかさが一つの特徴である九谷焼は、ギフトにもおすすめの焼き物。

宮本泰山堂や上出長右衛門窯のように、普段づかいのしやすい九谷焼であれば、

結婚のお祝いやお誕生日のお祝いなど、幅広い贈り物にお選び頂けます。

開けたときにわあっと嬉しい気持ちになる焼き物。

これもまた、九谷焼が長く愛される秘密なのかもしれませんね。

 

◇九谷焼を扱う上で、気をつけたいこと

 

■九谷焼の特徴は繊細な絵付けですが、

絵付けを傷つけないために、たわしでの洗浄、電子レンジの使用はお控えください。

また、お箸など、鋭利なものを表面に強く当ててしまうと

絵付けの破損につながりますので、ご注意ください。

 

■洗浄後、乾燥を十分に行いませんと

カビの原因となってしまいますので、ご注意ください。

 

■色絵を長く保管するために、重ねて収納する際には、

お皿の下に布巾や薄い紙を敷いて、色絵を保護しながら

収納することをおすすめします。

 

 

 

投稿者: 植田 日時: 2016年09月10日 11:00 | permalink

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