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良いシャツには理由がある。「ORIAN」ブランドインタビュー

 

東京・北参道エリアに佇む、とあるヴィンテージマンションの一室。ドアを開くと、そこは壁沿いに様々なシャツたちが並ぶ、まるで紳士のクローゼットのような空間。

 


 


上品なドレスシャツたちの佇まいに、自然と背すじが伸びます。ORIAN(オリアン)は、1990年にドレスウェアの生産工場が多くあるヴェネト州にて創設され、世界中から愛されているイタリアメイドの上質なシャツブランド。シャツ自体が主張する事や過度な装飾を排し、 着る人の個性を際立たせるシャツを理想としています。

 

良いシャツには、きっと理由がある。でも、なぜ着心地が良いのか言葉で説明するのは至極難しいのです。そんな「良いシャツの理由」を知りたくて、ORIAN(オリアン)輸入代理店であるエディット・アンド・コーさんを訪ねました。穏やかな様子で迎え入れてくださったのは、担当の鈴木さん。今回のよみものでは、スペシャリストも愛用中のシャツについて、その製法やドレスシャツの魅力、着こなしの仕方をご紹介します。

 


正統派だけではない、遊び心

【OVER SIZE PULLOVER シャツ】

 

— 今日着ていらっしゃるシャツは、ZUTTOでレディース向けにご紹介している【OVER SIZE PULLOVER シャツ】でしょうか?


はい、その通りです。こちらレディースサイズのみご紹介頂いていますが、ブランドとしてはユニセックスでサイズ展開しているものなんです。ドレスシャツメーカーであるORIANからすると、このオーバーサイズシルエット、なおかつユニセックス展開というのはいわば「飛び道具」的な存在。数年前、「ノームコア(究極のシンプル)」というファッションが広く浸透した際、ファクトリーブランドであるORIANもそのトレンドを取り入れて、こうしたユニセックスのものづくりも行っているんです。ZUTTOさんでは、そのうちの女性向けサイズをセレクトしてご紹介頂いているということですね。また、お取り扱い頂いている【Sサイズ】は、女性だけでなく小柄な男性にも選ばれています。



△鈴木さんの着こなし方。ボタンを全てしめ、首回りにスカーフをあしらう上級者テクニックです。

 

— とてもよくお似合いです。女性が襟元を抜いて(後ろにずらして)、オーバーサイズシャツを着るスタイルはすっかりお馴染みとなりましたが、ORIANもそうしたトレンドを意識しているのでしょうか。

 

確かにそうしたトレンドを意識しているという面もあるかと思いますが、こちらのシャツのデザインソースは、北欧のスリーピングシャツなんです。スリーピングシャツ、つまり寝巻きのことですね。快適に眠るためのシャツなので、胴回りは絞らずに寸胴な造りになっています。体を締め付けずにゆったり快適に着こなす、そうしたリラックスな雰囲気がこのシャツの良いところかなと思います。僕は背が高くて身幅もありますが、着心地、とっても良いですよ。

 



△モデル身長:166cm(左:着用サイズ S、右:着用サイズ XS) 後ろ身頃が長めにできており、体のシルエットを拾わないオーバーサイズのシルエット。スカートにもパンツにもすんなり馴染むのは、シルエットにこだわったORIANだからこそ。

バングル:STERLING SILVER BANGLE SB31STERLING SILVER BANGLE SB32シューズ:デッキシューズ LO11 WHITE(コーディネート左)パンツ:ハーフパンツ(MARINE)、バッグ:GOAT メッシュバッグ L (WHITE) (コーディネート右)スカート:コーデュラミニ裏毛 スカート(KHAKI)バッグ:SMALL MINI BEACH BAG(BANANE×WHITE×GALET)

 


男性の正装・ドレスシャツからヒントを得て

【LINEN COTTON スキッパーシャツ】

△モデル身長:157cm、着用サイズ:38

シューズ:ウイングチップレザーシューズ WHITEスカーフ:【別注】スカーフ 65×65(オレンジ)

 

— ORIANのシャツは少々お値段が張るので手に取るにはちょっと勇気がいるかな、と思うのですが、実際に袖を通してみるとシルエットの美しさに納得します。この着心地の良さは、どこから来るのでしょうか?


そうですね、メンズのドレスシャツで培った「ドレスシャツらしさ」を醸し出すディテールが応用されているからかな、と思います。例えば、シャツの顔といえば「襟」。首元を美しく見せるために、台襟(だいえり)は高めに。そこにカチッとお行儀の良い仕立てを施すことで自然と襟に高さが出てドレッシーに仕上がるんです。

 


△左:男性が着用するドレスシャツ、右:女性向けに作られた LINEN COTTON スキッパーシャツ


また、前にボタンがない「被り(かぶり)」のシャツですが、この襟の仕立てによってシャツの第一印象が決まると言っても過言ではありません。また、こちらのスキッパーシャツは女性の体を美しく見せるように、細身のパターンを採用し、背中に適度なダーツを入れることで自然に体にフィットするよう計算されています。



△青い矢印に沿ってダーツ(服を立体化させるために布の一部を細く縫いつまんだ部分)が作られています。

 

 

△モデル身長:166cm、着用サイズ:38


腰周りが絞られているので、さらりと着るだけで美しくウエストマーク(ウエストをポイントにすること)され、全体コーディネートにメリハリが出ます。第一印象を決める「襟」シルエットを美しく決める「パターン」。フロントにボタンのない「被り(かぶり)」のシャツなのにここまでドレッシーに着こなせる理由はそうしたディテールの積み重ねにあるのかなと思います。

 

— 完成度の高さを感じさせる一枚ですね。エッセンシャルアイテムの一つかと思います。シンプルなデザインなので合わせるお洋服を選ばないのもこのシャツのポイントかと思いますが、どんな着こなしがおすすめですか?

 

「カジュアルの格上げ」にも、「これぞドレス感」にも、どちらにも対応出来るので、いろいろなボトムスとの組み合わせをお楽しみ頂けますよ。ゆったりしたデニムと合わせて着崩しても、シャツに品があるので上質なカジュアルが完成しますし、例えば綺麗な膝丈スカートと合わせて上下ともにドレッシーに仕上げても素敵だと思います。

 


ORIANのはじまり、メンズシャツ

左:メンズ MICRO JACQUARDシャツ右:メンズ CHAMBREY SKIPPER シャツ

 

— レディースシャツを入り口に、ORIANならではの「造りの良さ」を伺ってきましたが、メンズシャツこそがORIANの真髄。ZUTTOでは日常着として取り入れて頂きやすいインディゴカラーのシリーズをご紹介していますが、このシリーズに見られる「ORIANらしさ」はどういったところでしょうか。

 

もともとメンズのドレスシャツを手がけてきたORIANですが、ブランドとしてもカジュアルに取り入れやすいシャツの企画にも力を入れているんですよ。ドレスシャツ製造の流れにも、「カジュアル化」という風潮が一つあって、その流れから洗いをかけて着る柔らかなシャツが企画されるようになります。

 

— インディゴシャツも、そのうちの一つなのですね。

 

2010年代に入ってから生み出されたのが、こちらの「デニム・ディヴィジョン」です。デニムといえばアメリカ発祥の文化。イタリアやイギリスのファッションシーンと比較すると歴史は浅いのですが、ORIANの故郷イタリアでは、いわゆる「アメリカン・ヴィンテージ」に対してリスペクトの念があるようです。アメリカのデニム文化というひとつの「古き良きもの」への敬意や共感を、インディゴシャツという形に落とし込んだのが、このデニム・ディヴィジョンなんです。


 


△アメリカン・ヴィンテージの雰囲気が感じられるタグに、正統派なスキッパーシャツの生地見本に比べ、可愛らしい馬のイラストが描かれたデニム・ディヴィジョンの生地見本。


ただ、そこはやはりORIAN。ウェスタンシャツの野暮ったさは感じさせずに、デニムシャツが肌に馴染む風合いと、イタリアのドレスシャツのDNAを持ったデザインセンスを掛け合わせることで、「洗練されたインディゴ」を作り上げています。ディテールとして是非ご紹介したいのが、襟のあたり、シャツの内側にデニムの「セルビッジ」を模したラインが施されていること。



△襟の内側に施されたセルビッジのライン。セルビッジとは、ジーンズの縫い合わせの部分にできる耳のことで、旧式のシャトル織機で織られたヴィンテージのデニム生地ならではの特徴です。


もう1つは、ボタンのステッチがヴィンテージドレスシャツにみられるデザインになっていること。四つ穴のボタンに、鳥の足跡のようなステッチがされているでしょう?ORIANの他のメンズシャツと比べてみると、そのディテールの違いがよくわかりますよ。



△左がデニム・ディヴィジョンのボタン。ボタンを縫い付ける糸も、敢えて目立たせているようなはっきりした色です。

 

—「アメリカン・ヴィンテージ」への敬意を感じさせるシャツなのですね。それでも、古臭さ、野暮ったさを感じさせないというのは、納得です。実際に長く愛用していくと、さらに味わいが増しそうです。

 

はい、僕も4-5年愛用しているデニム・ディヴィジョンのシャツがあります。デニムシャツと言われると、合わせるならデニムかチノパンくらいかな、と思われがちなのですが、ドレスシャツらしい雰囲気も兼ね備えているので、ジャケットを重ねたり、ボタンをしっかり留めてタイを締めたりと、綺麗めなアレンジにも対応可能なのが、ORIANらしいところです。


 

△実際に鈴木さんが愛用されているデニム・ディヴィジョン。肌当たりも柔らかく、愛用されている様子が伝わってきます。

 


特別なお手入れは不要。お洗濯もアイロンも、お好みに合わせて

ー 安心して長く愛用出来ますし、幅をきかせたコーディネートが出来るなんて魅力的です。メンズシャツは男性への贈り物としても選びたいですね。ちなみに、お手入れは何か特別なことをされているのでしょうか?

 

良い造りをしているからこそ、特別なことはこれといってしていないですね。アイテムごとの特徴を簡単に説明すると、こんな感じです。

 

OVER SIZE PULLOVER シャツ:ポリエステル混紡なのですぐに乾き、ノンアイロンでもシワになりにくいです。


LINEN COTTON スキッパーシャツ:アイロンのかけ方次第でイメージが変わるので、シーンによって使い分けが出来ます。


メンズ MICRO JACQUARDシャツメンズ CHAMBREY SKIPPER シャツ:洗うほどに適度に色が落ち、アタリが出てエイジングが楽しめます。染料にインディゴを使用しているので、初めて着用する際は一度水通ししてから着てください。

 

良いシャツは、モノとしての造りがしっかりとしているので、あまり神経質にならずラフに使っても品があります。ですので、お手入れというような特別なことはせず、お洗濯もアイロンがけも「ぜひお好みで」とご案内しています。実際、僕は私物のシャツは洗濯機で気兼ねなく洗っていますよ。色が自然に落ちていくのも味わいなので、洗剤も特別なものは使っていないですが、出来るだけ色落ちを防ぎたいという方は、濃色用の洗剤を使うのが良いかと思います。

 

 

シャツといえばアイロンがけ。これも好き好きなのですが、愛用者の視点でおすすめしたいのは、アイロンがけもシーンによって使い分けるということ。ジャケットを羽織って綺麗な雰囲気にする時はしっかり全面をプレス仕上げにしたいですが、シャツ1枚をデニムに合わせてシンプルに着こなすなら洗いざらしのカジュアルな風合いが格好良いものです。

 

また全面しっかりシワを伸ばさなくても、襟と袖、前立てだけにアイロンをかけることで、全体はラフな感じだけれど、シャツのディテールは綺麗に出ます。こうした部分アイロンをシーンに合わせて使い分けると、着こなしに幅が生まれて愛着が増すと思います。

 

△ちなみに・・・この日の鈴木さんはOVER SIZE PULLOVER シャツに、CINQUANTA(チンクワンタ)のトートバッグというとてもシンプルなコーディネート。上質なシャツが映える素敵な合わせ方でした。

 


【ORIAN(オリアン)】


Gian Gaetano Orian(ジャン・ガエターノ・オリアン)により創設されたシャツ・ブランド。彼は名門シャツブランドの立ち上げにも参画し、1990年に北イタリア・ヴェネト州・カステルフランコ・ヴェネトにあったシャツ工場を買い取り、自身の名を冠したレーベルをスタートさせました。 シャツ自体が主張する事や過度な装飾を排し、 着る人の個性を際立たせるシャツを理想とするORIAN(オリアン)。現在は息子のFederico Orian(フェデリコ・オリアン)がGian Gaetanoのフィロソフィーを引き継ぎ、ORIANは瞬く間に世界中で話題となり、一流ショップで取り扱われるようになった今もなお、多くのファンを作り続けているのです。

>>ブランドページはこちら

投稿者: 武田 日時: 2018年03月15日 11:00 | permalink

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