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はじめての土鍋。正しい目止めの方法とは?

 

今回取り上げるのは、土鍋の目止め(めどめ)。土鍋にも様々な種類がありますが、昔ながらの製法で作られた土鍋には、目止めをはじめ、長く愛用するためのお手入れが必要です。焼き物の風合いに惹かれ、昔ながらの土鍋を手に入れた方、贈り物で土鍋をもらってこれから使い始めるという方も、ぜひ参考にしてみてくださいね。

 

 

■そもそも目止めとは?

土鍋:伊賀土 丸土鍋 四人用(透明釉 白)​

箸置き:箸置き 結び

急須:肥前吉田焼 水玉 急須・湯呑セット(朱)

 

そもそも「目止め(めどめ)」とは、器の水漏れやヒビ割れ、におい移りを防ぐために行う処理のことを指します。今回ご紹介するように、「土鍋の使い始めは、まず目止め」と言われることが多いため、暮らしの中では土鍋を始めとする和食器に用いられる用語ですが、他にも木工製品の製作段階で「木地(きじ)の目止めをする」という場合もあるようです。

 

次に、なぜ目止めをする必要があるか?という点についてですが、土鍋をはじめとする土物(つちもの)の器は、素材である土に小さな穴が無数にあり、これを目(め)と呼びます。この目(め)を塞がずに使ってしまうと、弱くなった部分から亀裂が入ったり、細かな目に匂いが定着して取れなくなったりという様々なトラブルのもととなります。これらを防ぎ、長く丈夫に使い続けるために、目止めの処理が必要なのです。

 

鍋なのに水漏れ?と少々意外に思うかもしれません。ステンレスやセラミックなど、環境や使用状況に応じた物質的な変化が小さく、それゆえ扱いやすい素材のお鍋が容易に手に入るため、新品のお鍋にこうしたお手入れが必要ということ自体が、馴染みにくい感覚となっても不思議ではありません。そんな中、昔ながらの土鍋に使われている「陶土」は吸水性があるものです。素焼きの植木鉢に水をかけたら乾くのにしばらく時間がかかるのと同じです。土鍋表面には釉薬がかけられているので少々事情は異なりますが、「土鍋は水や空気を吸って呼吸するものだ」という感覚で接することが出来たら良いですね。

 


■土鍋の正しい始め方

 

ひとことで土鍋といっても種類がたくさんあるので、自分が手にした土鍋がどんな種類のものか確認し、正しい使い方をあらかじめ調べておくと安心です。付属の説明書に従いましょう。どれくらい特徴が違うか、様々な土鍋の種類のうち3種類をピックアップしてご紹介します。

 

伊賀焼:

耐火性が強く直火にかける鍋にぴったり。焼き物らしい堂々とした佇まいや、高い蓄熱性が魅力。目が荒いため定期的な目止めが必要で、水漏れや匂い移りに注意しながら、育てていく土鍋です。

 

萬古焼:

家庭で広く使われている焼き物の一つ。もともと熱に弱い土に、石の一種をブレンドすることで耐火性を増した半磁器に分類されます。目が細かいため、匂い移りにも強いです。

 

その他(セラミックなど):

目止めなしで使える、ガス・IH両用など、機能的なものが多く開発されており、目も細かいため匂い移りが少なく、一つのお鍋でキムチ鍋からおでんまで様々なお料理に対応可能というメリットがあります。

 

ここに挙げた以外にも様々な種類の土鍋がありますが、こうして比べてみるだけでもそれぞれの持ち味が分かります。「目止めが必要な土鍋」は少々手間がかかるように思います。それでも、ぜひ伊賀焼をはじめとした「土鍋らしい土鍋」を選びたくなる理由としては、「多孔質な荒い土が高い蓄熱性を生み、食材の旨味をじっくりと引き出す」「一度温まると冷めにくく、大勢で食卓を囲む鍋料理に最適」といった点が挙げられます。それゆえ、定期的なお手入れ=目止めが必要というわけです。こうした土鍋のメリット・デメリットも、その性質ゆえのものなのですね。

 

 


■正しい目止めの仕方

 

目止めとは何か、土鍋の特質と合わせて理解出来たところで、ここからはいよいよ目止めの処理に取り掛かりましょう。

 

①ヒビや目立つ傷がないかどうかチェック

 

まずは、土鍋を開封したらヒビや目立つ傷がないかチェックします。万一、使い始める前に傷がある場合は、そこから水が染み込んで水漏れが生じたり、火にかけた時に熱で破損したりと、思いがけない不具合に繋がります。水や食材を入れる前に一度自分の目で検品しておけば安心です。

 

 

②水洗いして、しっかり乾かす

 

水洗いしてしっかり乾燥させます。土鍋に水をあげ、器としての命を吹き込むようなイメージで優しく洗いましょう。また、早く使い始めたい気持ちをぐっとこらえて、しっかり乾かすのも大切なポイント。ここで内部に水分が残っていると、火にかけた時にヒビが入る可能性があります。底面が、釉薬なしの素焼き仕様の場合は要注意。底面を触って、水分がしっかり乾いているのを確かめましょう。

 


③8分目まで水を入れ、デンプン質の食材を入れる

 

しっかり乾燥しているのを確認したら、8分目まで水を入れ、そこにでんぷん質の食材を入れます。ここで使えるのは、ごはん・片栗粉・小麦粉など。食材に含まれるでんぷん質が、目をふさぐ「つなぎ」となります。水の1/5量を目安に鍋に加えます。中でもおすすめなのが、ご飯粒を使った目止め。ご飯粒に含まれたたっぷりのでんぷん質がつなぎとなり、しっかりと土鍋の目を繋ぎ止めることが出来ます。

 

 

③蓋をせずに1時間弱火で加熱

 

準備が整ったら、弱火にかけて加熱します。ポイントは、蓋をしないこと。吹きこぼれないようゆっくり加熱していきましょう。

 

④冷めるのを待つ

1時間たったら火を止めて放置します。ここでも、慌てるのは禁物です。鍋が自然に冷めるのを待ちましょう。

 

⑤水洗いして、しっかり乾かす

鍋が完全に冷えたら、中身を捨てて水洗いします。最初の水洗い同様、水分がなくなるまでしっかりと時間をかけて乾かすようにしましょう。

 

以上が、「目止め」の手順です。土の種類や製法によっても焼き物の特質は異なるため、付属の解説書があればその方法に従ってくださいね。

先にご紹介したセラミック製の鍋など、新しいタイプの土鍋には目止めなしで使えるものも多く開発されている昨今。見方によっては、目止めという一手間が少々面倒にも思えるのですが、こうして手入れをすることで、土を焼いた器に息が吹き込まれ、暮らしの道具へと姿を変える過程は、私たちの愛着を深めてくれますよ。

 

 


■土鍋を長持ちさせるためのコツ

最初の目止めが完了したら、いよいよ土鍋ライフのスタートです。定番の鍋ものはもちろん、おでんや煮込みうどんまで、様々なお料理に活躍してくれる土鍋。目止めの方法と合わせて、土鍋を長持ちさせるためのコツをご紹介します。

 

 

 

【定期的な目止めと、貫入の知識】
 

「目止めは使い始めに一度だけ行うもの」と思われがちなのですが、定期的に目止めを行うと、土鍋を強く保つことが出来ます。今回ご紹介した伊賀焼の土鍋のように目の荒いものは特に、定期的に目止めを行うのがおすすめです。

 

 

また土鍋を火にかけると、土の部分と釉薬の収縮率の違いにより、表面に貫入(かんにゅう)が生じます。蜘蛛の巣のように微細なヒビに似た、模様のようなものが貫入です。釉薬には水の浸透を防ぐ役目がありますが、貫入が起こると水が染み込む可能性が出てきます。ここで定期的に目止めを行うと、貫入の隙間を埋めることが出来るため、水の染み込みを防ぐことが出来るのです。

 

【急冷・急熱を避ける】

土は呼吸する素材です。熱する、冷やすの繰り返しの中で、土鍋は膨張と収縮を繰り返します。そのため、急に熱したり、逆に冷したりすると、急激な温度変化に土鍋の呼吸が追いつかなくなり、ひび割れや破損がおきてしまいます。貫入は素地と釉薬の収縮率の違いによるもので、少しずつ貫入が進んでいくのが自然な土鍋の姿ですが、急熱・急冷によるひびは、破損の原因となります。火にかける時は、土鍋の底が濡れていないか確認し、しっかり乾いた状態で優しい弱火にかけるようにしましょう。ウォーミングアップするような気持ちで、まずは鍋つゆを優しい弱火にかけて土鍋を少しずつ温める。使い終わった後も、急に冷やさずに粗熱が取れてから水洗いすれば、鍋にとっても負担がありません。

 

【表面を傷付ける研磨剤は避ける】

正しい方法で洗うのも大切なポイントです。土を焼き上げた土鍋は、とってもデリケート。土をこすり、削り取ってしまうクレンザーのような研磨剤は、土鍋表面に傷を付け、水が染み込む原因を作ってしまいます。お料理が終わり、土鍋が完全に冷えたら柔らかいスポンジで水洗いしましょう。

 

【しまうのは完全に乾いてから】

目止めの手順での注意ポイントにあったように、「よく乾かす」ことが土鍋にとっては不可欠。本来、土は吸水性の高い素材ですので、底面に釉薬のかかっていない土鍋の場合、使用後の水洗いである程度吸水・吸湿しています。

乾燥が不十分な状態でしまったり、あるいは目止めをした後の乾燥があまかったりすると、土鍋が水を抱え込んだまま長時間おくこととなりカビや匂いうつりの原因となってしまいます。定期的に目止めをしていても、乾燥があまいとかえって逆効果となってしまいますので、「火にかける前も、使った後も、しっかり乾かす」を合言葉にしましょう。

 

 

 

 

「はじめての土鍋」という視点で、目止めの方法をご紹介してきました。目止めが必要なお鍋もあれば、目止めなしで手軽に使えるよう様々な工夫がされた新しいタイプのお鍋も生み出されている昨今。それぞれに良さがあるというのは、本文でお伝えした通りです。少々手間のかかる作業ですが、目止めをすることによって器としての土鍋に命が吹き込まれ、火を入れる度に育っていく、その過程を楽しむことが出来るのが土鍋の醍醐味。時には、ちょっとした手間をかけながら、美味しいお鍋料理を囲んでみてはいかがでしょうか。

 


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投稿者: 斎藤 日時: 2018年01月07日 11:00 | permalink

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