革製品は意外と身近な存在。衣服や靴といった身につけるものから、バッグや財布といった小物、はたまた椅子やラグといった家具の原料にもなっています。革にも牛革・豚革・羊革と様々な種類があり、さらになめしや加工の仕方によっても見た目や質感が大きく変わる素材でもあります。それだけ多くの種類がありながら、幅広いアイテムの素材として革が選ばれる共通の理由には、以下のような特性があります。

 

・長年使い続けられる、高い耐久性

・艶と色が生み出す高級感

・保温性の高さ

 

こうした特性があるからこそ、時代を越えて老若男女に愛される素材といって良いのでしょう。その一方で革だからこそ気をつけたいこともあります。今回は革製品のメンテナンスの仕方をアイテム別にピックアップ。今持っている革製品を長く使い続けるためのポイントをご紹介します。

 

 

高級感のある革バッグは、普段づかいのバッグとしても、ビジネスシーンなどきちんとした場にも選びやすいアイテム。また、荷物をたくさん入れても擦り切れにくい高い耐久性も、好まれる一因です。全体が革で作られたフルレザータイプ、持ち手やストラップのみが革になったタイプなど、革バッグにも様々な種類がありますが、いずれも使い続けることで艶を増し、色濃くなっていくので経年変化を感じることが出来ます。

 

 

柔らかくナチュラルな表情のある豚革と使ったREN(レン)のワイドトートバッグ M。本体から持ち手、飾り、内側まで全てが革で作られたフルレザータイプ。革のキズや色ムラは天然素材の証。コーティングなどで隠すことをせず、素の風合いを大切に仕上げられています。 

 

 

手提げにもショルダーバッグにもなるZUTTO(ズット)の2way スクエアバッグは、持ち手と底面、ファスナーが革製。肌色に近いヌメ革は使えば使うほど、飴色へと変化していきます。

 

■使用前の心得。まずは防水スプレーを味方につける

 

革バッグを使用する前に、まず心がけたいのが汚れの予防。おすすめが革製品用の防水スプレーです。事前にスプレーすることによって汚れと革の大敵である水を付きにくくコーティングしてくれます。

 

 

天然素材で作られたTAPIR(タピール)の皮革用防水スプレー。小ぶりなスプレーで、バッグやシューズをはじめとした革製品に使うことが出来ます。素材によっては色を残すことがあるので、まずは目立たない場所(バッグの底裏など)に少量をスプレーします。問題なければ、20〜30cm離れたところから全体にスプレーします。

 

■バッグの使用後

 

使用後はブラッシングが基本のお手入れになります。バッグを持って外を出歩くと細かいチリや付いたり、地面に置くことで汚れが付くことも。そんなときは柔らかい毛を持つブラシを選んで丁寧に汚れをかき出します。

 

 

REDECKER(レデッカー)の靴みがき 6点セットは、革靴向けに作られたブラシではありますが、柔らかい馬毛のブラシならバッグのお手入れにも活用出来ます。表面を丁寧にサッサッとリズミカルに払っていきます。力を入れすぎないことがブラッシングのポイントです。

 

■使うことが何よりのメンテナンス

革バッグにとって、何よりも使うことが一番のメンテナンスになります。革製品はもともと油分を含んでいることから、自身を乾燥から守り艶を出す特徴があります。また毎日手で触れることで、より油分を蓄え、色艶を増す革製品ならではの良さを実感出来ます。

 

 

 

革の種類によっては、例えばワンシーズン使わない状態で仕舞っているとバッグの表面に白っぽい汚れのようなものが浮き出ている場合があります。

上記はパラフィン加工と呼ばれるロウ引き加工が施された、LEON FLAMのバッグ。オイルを多分に含んだ革の最終仕上げにパラフィン加工がされることで、多少の傷も擦ると目立ちにくくなるという良さがあります。ただし、使わない状態で放置するとパラフィンが表面に浮き出て、白い汚れのように見える場合があります。その際は柔らかい布で優しく拭くと革に馴染んで取り除くことが出来ます。この現象も使うことで徐々に頻度が少なくなっていくので、やはりバッグは使うことがメンテナンスといえます。

 

 

続いて、こちらも革製品の定番である革靴のメンテナンス。革靴もまた、その高い耐久性が好まれて長年多くの人に愛用されてきたアイテム。フォーマルにも使える靴として、世界中で作られてきました。革靴の場合、地面を歩くのでバッグと比べるとより汚れやホコリが付きやすく、着用時の内側はほぼ密閉された状態。そのため汚れと湿気を取り除くことがお手入れのポイントになります。

 

 

トラッドな形が印象的なchausser 2wayシューズ。甲革、中底、表底を一緒に通し縫いすることですっきりとしたデザインを実現しています。艶やかな牛革のシューズは、靴内部の底から甲にかけて、足を包むようにフィット。

 

ワークシューズから生まれたKLEMAN(クレマン)のJOUBER BLACK。アッパーは上質なレザー、内側はクッション性のあるインソールで、脱ぎ履きも歩行も楽にすることが出来ます。

 

■革靴の基本の手入れ

革靴の基本のお手入れは、汚れ落としと保湿。週に2、3回履く場合は月に1回を目安にお手入れします。

まずはブラシを使った汚れ落としから。革靴はバッグや小物に比べると比較的厚みのある丈夫な作りになっているので、やや硬さのある豚毛のブラシを使ったブラッシングがおすすめです。

 

 

 

1777年からイギリスでブラシ一筋のものづくりを貫くG.B.KENT(ジービーケント)。アイテムそれぞれに適したブラシを提案しています。コシのある豚毛で作られたシューブラシは、適度に高さのある毛束に毛先をランダムにすることで、埃や汚れを落としやすい作りになっています。

 

表面をブラッシングする際はつま先からかかとに向かって行います(①)。アッパーとソールの間、かかとの後ろ側なども丁寧に。かかとのヒール部分は上から下に向かって汚れを落とすようにブラッシングします(②)。

 

 

ホコリが溜まりやすいので、靴紐を外し、紐を通す穴の付近や革が重なった縫い目の部分もブラッシングします。

 

 

ブラッシングが出来たら革の保湿へ。革製品用のクリームを柔らかい布に取り、革の表面に均一に伸ばして塗り込んでいきます。

TAPIR(タピール)のレーダーフレーゲクリームは蜜ろう、カルナバロウをはじめとした天然の素材のみで作られたもの。クリームを初めて使う際には念のため目立たない場所に少量塗り、極端な色合いの変化が出ないか確認してからご使用ください。また、クリームは多量に付けすぎますと、逆にホコリが付きやすくなりますのでご注意ください。仕上げに柔らかい布で乾拭きを行えば、基本のお手入れは完了です。

 

■湿気を取り除くために

靴内部の湿気を取り除くためのひとつのポイントは、同じ靴を毎日履かないこと。また、形を整えてきちんと保管することも靴を長持ちさせます。保管には履きジワを伸ばすためにシューツリーを活用することをおすすめします。

 

 

 

Woodlore(ウッドロア)のコンビネーションシューツリーは吸湿性、防虫・防カビ効果のあるアメリカで採れるレッドシダーを使用しています。まるで森林浴をしているような爽やかな香りのするシューツリーは、金具の部分が折れ曲がる仕様なので無理なく靴にセット出来ます。革靴には必ずシューツリーをセットして保管することをルールにすれば、次に使うときも綺麗な形の状態で履くことが出来ます。

 

 

バッグ、シューズが革製品の代表格ではありますが、そのほかにも、お財布やペンケースといった収納アイテムの素材としても革は使われています。頻繁に開け閉めをするこうした小さな収納アイテムの素材に革が選ばれるのは、革が持つ破れにくさ、壊れにくさという耐久性が何よりの理由。また、革ならではの経年変化を味わうにはうってつけのアイテムとも言えます。

 

 

ARTS&CRAFTS(アーツアンドクラフツ)のCOMPACT TWIN PURSEは、9世紀初頭からイタリア・トスカーナ州に伝わる植物を使ったなめし技法で作られたヴァケッタレザーで作られています。小銭入れとお札入れが別になったコンパクトでミニマルなデザインが持ち味。

 

 

Sonnenleder(ゾネンレダー)はドイツの伝統的の鞣し方法を用いる革製品ブランド。牛革を使った使えば使うほど柔らかくなっていくアイテムを数多く打ち出しています。

 

 

■たまの特別なお手入れ

お財布やペンケースは日々使い、手に持って触れるもの。触れることで革製品の油分は保たれるので、特別なお手入れはほんのときどきで十分です。だからこそ普段扱う際には、丁寧に開け閉めしたり、中身を詰めすぎないことを意識して使うことが大事です。

 

 

中にものを入れる収納アイテム、バッグの中に入れる小物の場合、内側や外側から圧迫されることがしばしば。そのため、お手入れをする際にはまずは中身を取り出し、形を整えることが重要です。小さなアイテムのため、ブラッシングよりも柔らかい布で乾拭きを行い表面のホコリを落とし、レザークリームで表面を保湿してください。

 

 

革製品は耐久性のほかにも、保温性に優れた存在。革手袋はその保温性を活かしたアイテムのひとつ。古くから手袋の素材として選ばれてきた経緯があります。

 

 

RANDERS HANDSKER(ラナスハンドスカ)は北欧デンマークで生まれた手袋ブランド。きめ細やかで艶やかなラムスキンを使ったグローブは上品で手首までとても暖かです。

 

 

革の目利きでもある「グローブカッター」と呼ばれる職人がレザーを裁断し、丁寧に作り上げた、Burfield(バーフィールド)のディアスキングローブ。

 

■引っ張りすぎないこと

革手袋を使用する上で気をつけたいのが、その扱い方。手袋をはめるとき、外すとき、指先や手首に当たる部分を引っ張っていませんか?ついやってしまいがちなこの動作は、実は手袋に負担を与えています。革手袋の場合、特に編み込まれたウール製等と違い、伸縮性が少ないため引っ張ることで生地が伸びてしまう原因にもなります。

 

そのため手袋の着脱の際には、手のひらに当たる表面積の広い部分を持って行い、出来るだけ生地に負担を与えないことがポイントです。

 

■手袋は保管方法に注意

手に触れる手袋を長く美しく保つもうひとつのポイントが、保管方法。

 

 

革製品の特徴として熱に弱い・水に弱いことが挙げられます。この2つの場所を避けるためにも、直射日光の当たらない風通しの良い場所に保管するようにします。出来るだけ手袋の形を保った状態で保管することで、次のシーズンも気兼ねなく使うことが出来ます。

 

 

さて、最後のご紹介するのは革製のベルト。男女問わず使う頻度の高いアイテムではないでしょうか。革ベルトはビジネススタイルにも似合うので、何本も持っているという方も多いはず。どちらかというと脇役なベルトなので、お手入れをしたことがないという方も多いかとは思いますが、より長く使うためにはポイントがあります。

 

 

特徴的な装飾を散りばめたPuntovita(プントヴィータ)のレザーベルト PV802。イタリアの職人により、一点一点が手で染め上げられ、装飾されています。

 

 

イタリア・トスカーナ州で作られているCI-VA(チーバ)のベルト Natural。シンプルなベルトでありながら、ナチュラルな牛革が使うたびに色艶を増していきます。

 

■しわ対策

ベルトは腰に巻くものであることから、どうしても巻きじわやクセが付きがち。ベルトを外すとくるんと勝手に丸くなってしまいますよね。しわを伸ばすためには重力の力を使うのが最も効果的。ベルト専用のハンガーを使えば簡単です。

 

 

また、しわになった部分は乾燥するとそこからひび割れに繋がってしまう恐れもあります。他の革製品同様、入念に保湿をすることで、ひび割れを防ぎ艶やかな革に蘇ります。

 

 

革のメンテナンス、いかがでしたか。革製品は上手に付き合っていけば何年も、何十年も寄り添ってくれる存在。メンテナンス方法を身に付けて、自分の相棒のように使い続けてみませんか。

 

▼ブラシのプロフェッショナル。REDECKER(レデッカー)

 

▼革製品のお手入れ全般に。TAPIR(タピール)

投稿者: 植田 日時: 2018年01月09日 11:00 | permalink

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