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異素材が生み出す絶妙

色、かたち、肌触り。1枚の服を手に取る時、私たちは何をもってその服をお気に入りの1枚として選び取るのでしょうか。服を着るという行為を遡れば、1枚1枚の服を作り出す工程には、まず形を決め、色を絞り込み、そして素材を選び取るという、いくつもの背景があります。その全てに対して、妥協することなくものづくりをすることが出来たなら、それはきっと唯一無二の服と呼べるはずです。

ご紹介するFACTORY（ファクトリー）の服は、そんな服作りの全ての工程に対してこだわりを貫いた逸品ばかり。言葉で語らずとも、かたちも、色も、肌触りも、その全てに意味があると伝わってくるから不思議です。

大人のモードを作る服

こちらのドッキング シャツワンピースは、柔らかなペルー綿の二種類の布帛とジャージーを組み合わせたデザインです。ゆったりとした身幅が生地の落ち感でドレープとなる、お洒落な雰囲気を持つワンピース。脇には縦のラインの切り替えが入り、後ろ身頃のスカート部分は他の箇所よりしっかりとした布帛生地で切り替えて、全体を引き締めます。袖もジャージーと布帛の切り替えによって、新たなニュアンスが出るように設計されています。

きめの細かいペルー綿

使用されたペルー綿には、南米ペルーのピウラ地方の海岸沿いで育つ綿花が選ばれています。一年中高温になる地域で、昼夜の寒暖差が大きく雨量が程度な気候から、きめ細かい超長綿が育ちます。それを丁寧に紡いだ糸は、良質な光沢感ときめ細かい肌触りが特徴の、ふっくらとした仕上がりになっています。

自らの手で生み出す、唯一無二の空気感

ブランドの前身は、1978年にスタートした1軒のブティック。もとは仕入れた服を販売するお店からスタートしたのですが、1983年には自社で全ての商品を製造する方針に変え、店舗の裏に工場を作り、オリジナルウエアを展開するブランド「FACTORY（ファクトリー）」が立ち上がりました。

ミシンひとつからスタートしたブランドに、一人にまた一人と仲間が増え、お客様の身体に合わせた服づくりを続ける中で1990年には、よりオリジナリティーあるモノづくりをしていきたいと、素材を求め海外へ出向くようになり、染色工房も設立したのだそう。小さいながらこだわりのある服づくりを続け、現在の企画・素材開発・製造・生産を全て自分たちで手掛けるクリエーションの形が生まれました。

そんなFACTORY（ファクトリー）のデザインパターンは、すべて東京のデザインアトリエで生み出されます。コレクションブランドで経験を積みパターンメイキングの実践を重ねたスタッフがすべて立体裁断で形を作り、サンプル縫いを何度も重ねたことで「流行にとらわれなくて、着心地がよい」「シンプルだけれど、ちょっとユニーク」といった、唯一無二の服が仕上がっていくのです。そして、生み出されたパターンをもとに、服を作り出すのが栃木県足利市にある自社工場。裁断や縫製はもちろん、併設した染色工場で製品や原料の「染め」の作業も行うというこだわりぶり。足利という、歴史的にも織物製造に長けた土地の空気感までもが服に現れるような、そんなものづくりのスタイルが貫かれているのです。