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山ぶどうかごの故郷、青森県弘前市の宮本工芸を訪ねて。

 

 

今回伺うのは青森県弘前市にある、宮本工芸。あけびのかご・山ぶどうかごなどのかご細工を扱っていて、ZUTTOでも長くお取り扱いさせていただいていて、トップの人気を維持し続ける人気工房。数年前から受注オーダーを開始した山ぶどうかごの秘密をもっと知りたくて、今回は制作現場を取材させていただけることになりました。

 

 

東京から新青森までは新幹線で3時間ほど、そこからローカル線で30分かけて弘前市に向かいます。

 

 

駅前にはビジネスホテルやお土産屋さんなどがあって、コンパクトながらも便利。徒歩で15分ほど行くと、宮本工芸が見えてきます。

 

 

一階はショップ、二階は工房に。のれんをくぐると、宮本工芸の窓口役、営業の武田さんが出迎えてくれました。早速山ぶどうかごの作り方について教えていただきます。

 

 

山ぶどうかごはどのように作られるのか?

 

宮本工芸の山ぶどうかごには、自然のものしか用いられていません。素材は基本的に青森県で調達していて、近くの岩木山で取れた山ぶどうを買い付けて作られています。

 

こちらは岩木山。弘前市内にいるとこの山がよく見えます。

 

1. 収穫

あけびの蔓は地面を這うように生えていますが、実は山ぶどうの皮というのは木に巻きついています。外側の皮の部分だけ削ぎ落として、集めてもらったものを宮本工芸がコミュニケーションをとりながら直接購入して仕入れています。採取できるのは6〜7月だけの1ヶ月間だけ。持って帰ってきたものは宮本工芸の倉庫や建物の屋根の上で乾かしています。

 

30mを超えるほどの長い木も珍しくない山ぶどう。そこに巻きつく皮をできるだけ上の方から長めに採取します。

 

こちらはあけび蔓。岩木山ならではの長くて色の良いあけびが干されています。

 

山ぶどう皮はこんなふうに束になって保管されています。全ての皮が使えるわけではなく、アソートのようにいろんな状態の山ぶどうが一緒くたになっています。

 

 

2. 皮の準備

宮本工芸の山ぶどうかごは、この乾燥させた皮の状態から、完成まで、一人の職人が作り上げるのが特徴。まずは皮を水に浸けて癖を取り、柔らかくするところから始まります。

 

工房までの間にある水を貯めるスペース。ここに皮を入れてある程度柔らかくします。

 

柔らかくした皮は次の工程まで乾燥しない様にビニールの中で保管。

 

3. 皮引き/なめし

ここからは自然のままの山ぶどう皮を、実際にかごにするための作業。職人技が光ります。皮引きとは皮の状態を見ながら皮を引き伸ばして癖をとったりして、使う幅に皮を作り上げていくこと。何度も何度も作業をして、より良い素材を作っていきます。

 

地味にも見えますが、かごの出来栄えを左右する大切な作業。何日もかけて数個のかご用に一気に作業をするそう。

 

先ほどまで少し曲がっていた皮も、引いたことでこんなふうに真っ直ぐに。長くてフシがないものを探すのも一苦労。

 

 

4. 編み

木型を使って編み上げていきます。水で濡らしながら編むので、乾いた時に編み目が縮むことも加味しながら、丁寧に編んでいます。「工業製品と違って自然の材料は融通がきかないんです。そこが職人の技術の見せ所だと思います。」

 

底の部分を編み、サイズを細かく計測している様子。

 

濡らして

 

作るかごの木型を置いて、ここから編んでいきます。

 

5. 胴体完成

編み上がったら中に紙を詰めて、しっかり乾燥させます。亀の子たわしで毛羽を取っていきます。

ちょうど出来上がったカゴがこちら。これからZUTTOに納品されるものだそうです。

 

「たわしで擦るだけで一気に艶が上がります!」と、武田さん。

 

 

6. 仕上げ/持ち手取り付け

モノにもよりますが、持ち手を取り付けて仕上げです。山ぶどうかごバッグの巻き手は芯材に「あけび」を使っています。かごのために太さサイズの揃ったあけびを準備してある様子がこちら。事前の準備が美しい持ち手を作ります。

 

美しく揃った持ち手の芯材。持ち手を見ればどれほどの技術で手間隙をかけているかがだいたいわかるとも言います。

 

3分巾 S

宮本工芸のかごの巻き手。芯材に巻き付けられた山ぶどうにも無駄がなく、美しいです。

 

そうして出来上がったカゴが、ZUTTOを通してお客様に届けられるのです。

 

3分巾 S

完成

 

職人さんの制作現場を少し覗かせてもらいました

 

ショップの二階が工房になっていて、今回は実際に作っている様子を見せていただきました。伺った時には4名の職人さんがいらっしゃって、その中で山ぶどうを作っているのはお二人。それぞれ山ぶどう皮やあけび蔓を置くスペースがあり、黙々と作業をしてらっしゃいました。

 

ZUTTOで取り扱っている2分巾の山ぶどうかごを作っていらっしゃる職人さん。確かな技術と丁寧な仕事に、案内してくださった武田さんからも「素晴らしい出来映えのかごを作る職人です」との紹介が。

 

こちらはあけびのかごを制作している様子。あけびは山ぶどうと違い、一度水に浸したら一気に編み上げないといけないので時間勝負。

 

蔓や皮の保管方法は、職人さんの性格が伺える部分。

 

様々な木型が保管されていました。自然の素材をできるだけ均一に美しく作るように試行錯誤しています。

 

 

 

宮本工芸・武田さんに聞きたい、山ぶどうのこと

 

山ぶどうかごが貴重な理由を改めて教えていただきたいです。

 

武田さん:そもそもの問題、山ぶどう皮の取れる量が年々減っている、というのがあります。自然環境の変化や、収穫する人の減少に、高齢化。特に山ぶどうは自分の身長をゆうに超えるようなススキや木が生茂る奥地まで足を運ばないといけない上、行っても獲れるかどうかわからなくて、空振りで帰ってくる可能性があります。結局、体力面や金銭面で市内でアルバイトしていたほうがいいと、辞めてしまう人も多いんですよ。今は少ないながらもなんとか一年間に合わせているという感じなのですが、今後はどうなるかわかりませんね・・。

 

あと、うち(宮本工芸)の山ぶどうのかごを見ていただくと真っ直ぐでフシがない、均一な出来上がりになっているのですが、こういった素材を見つけるのもかなり骨が折れます。

 

3分巾 S

 

保管してあった素材を見ていただくと、自然のものだからこそ曲がっていたり、フシがあったりしたのがお分かりになると思います。綺麗なかごを作ろうと思うと、1束からいいものが何本取れるか・・。細めに編み上げる一番人気の網代編みは特に表面の均一さが出来上がりに差をつけます。太い皮に比べて細い皮で同じサイズのかごを編むと、必然的に必要な皮の長さが必要で、より一層貴重なものになります。

 

 

 

作り手の高齢化、というのももちろんあります。工房に来て制作している4人以外にも、様々な理由で自宅で作業をされている方もいます。りんご農家さんで、閑散期に技術を使ってかご編みを兼業している方もいます。

 

「花結び」を作ってくださっている方もかなり遠方に住まれていて、すごくこだわって時間をかけて作ってくださいます。このレベルになると、作り上げる根気も必要です。職人のこだわりは我々ではわからないくらい、かなり緻密にやっています。

 

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出来上がりは本当に素晴らしいので、山ぶどうを愛されている方にはぜひ一度手にとっていただきたいです。

 

 

店舗ではどの形が人気ですか?

 

武田さん:店舗で実際に山ぶどうを手に取られる方は、中間サイズ(M〜Lサイズ)が多いですね。オーソドックスで一番人気だと思います。

 

3分巾 S

山ぶどうかごバッグ レザーハンドル付き(3分巾 M)

 

持ち手は巻き手が昔から人気があって、うちでも推しています。芯作りから、厚みを合わせて巻き付けるのにも技術が必要で手間もかかりますが、うちのものは本当に完成度が高いですし、壊れにくいです。他で購入されたカゴに巻き手をつけてほしいという要望をもらうこともあるんですが、持ち手がきちんとしているだけで本当に見違えるようになるんですよ。

 

3分巾 S

付け根が痛みにくい巻き手

 

最近ではこのグニ手も人気ありますね。巻き手よりは強度が落ちますが、うちのものは丈夫に作っていますよ。他のお店と比べると違いは歴然だと思います。

 

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職人の技術力が出るところなので、宮本工芸では自信を持ってお出ししています。バランスが良くて持ちやすい持ち手を心がけています。使う時に一番触るところなので、丈夫かつ美しい作りであることは、満足度に直結すると考えています。

 

 

長く愛用する秘訣、黒くエイジングさせる極意を教えてください

 

武田:亀の子タワシで磨くこと、手でよく撫でること。これは美しいエイジングには必須ですね。艶が上がって、綺麗に経年変化すると思います。長く使うには、こまめにかごをチェックして修理に出してほしいですね。後は、収納するなら紙袋が一番良いと思います。ある程度の乾燥はOK、高い湿度はカビの原因になるのでNGです。自然のものなので出しっぱなしでも良いですが、ホコリが溜まってしまうことがあるので、紙袋がおすすめです。また、白っぽく日焼けしてしまうので、直射日光の当たる場所で保管しないようにしてください。

 

シーズン中はひび割れやささくれが出てきたらハサミで切ってしまってOK、シーズンオフに宮本工芸まで送ってもらえたらお直ししますよ。ひどくならないうちに出してもらえると洋服への引っ掛かりの危険性も減りますし、お直しも簡単で済みます。長く使ってもらうことを第一に考えているので、宮本工芸のカゴなら他よりずっと修理費用を抑えて提供しています。一度ZUTTOさんを通してご相談ください。

 

武田さんのお財布は山ぶどう。「数年使って、これくらい黒く艶が出ました。国産の皮はやはり質がいいですよ。白い部分は自然由来のもので、たまに黒くならない皮もあるのですが、自然のものなのでご了承いただきたいです。」

 

こちらはショップに置いてある、推定50年の山ぶどうのハンドバッグ。見本として店舗に置いてあるもので、頻繁に使われているわけではありませんが、先程のお財布よりも、さらに艶やかです。

 

 

一生モノとして高額なお買い物だからこそ、修理体制やフォローアップ体制は気になる点だと思いますが、その点宮本工芸さんは安心できます。

 

武田さん:ありがとうございます。宮本工芸の山ぶどうかごに関していうと、網代編みは触っていただくとわかるのですがかなり丈夫で、変形の心配もほとんどありません。花結びのかごは、網代編みと違って少し柔らかいので、使わない時には紙であんこを作って何か詰めると良いのかなと思います。ただ、使っていくうちにくたっとしてくるのもその人らしくて良いなと思います。以前お客様に見せていただいた花結びかごが、潰して使っていることでちょっとくたっとした風合いになっていたのですが、それもこなれていて素敵でした。どんどん使っていただくのが一番良いと思います。

 

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ネットで販売できるようになって、様々なクオリティのカゴが見られるようになりましたが、百貨店のポップアップで、他のお店のかご職人の方にお話を聞いて、安価なかごには色々と産地や素材などの心配もあることを知りました。その点、やはり素材から制作まで完全国産の宮本工芸のかごは安心感が違います。

 

武田さん:自分はあまり出会った事がないですが、使っている材料を見るとすぐわかりますね。本当にこれ山ぶどうなの?というものにも会ったことがあります。中国製の山ぶどうかごと謳っているもので、籐細工の表に色を塗っただけのような物もあるみたいです。

 

後は、山ぶどう皮を使っているものであっても、二番皮を使ったものだと一番皮よりぐっと価格が下がります。一番手の皮を剥いだ後の素材を使っているので、かなり印象が違います。(ZUTTOで紹介している宮本工芸の山ぶどうかごは一番手の皮でなければできないものです。)国産のいい皮でないと、なかなか山ぶどうらしい艶が上がらないと思いますね。

 

※一番皮でなければ出来ないかご以外は、残りの材料を無駄にしないよう、木型を使わないざっくりタイプや花き、小物に使っています。

※同じ皮から状態の良い部分を引いた残りが二番皮となります、節や皮肌の悪いもの、また曲がりくねった皮が二番手と言います。

 

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後は、技術が出るのがそのシルエットですね。歪みのない、美しい見た目に、高い技術力が凝縮されています。

 

3分巾 S

山ぶどうかごバッグ(2分巾 L)

 

山ぶどうのかごは3世代使えるとも言われる、一生もの。なので、自分にも、大切な子どもや孫まで受け継いでいきたくなるような、ご納得いただけるものを選んでいただくのが良いと思います。

 

投稿者: ZUTTO編集部 日時: 2023年02月22日 12:00 | permalink

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