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豊かな表情が魅力、槙田商店のジャガード織り日傘

 

日差しも強くなり、汗ばむ陽気も増えてきました。
これからの季節、女性にとってお出掛けに欠かせないのは日傘ですね。
日焼け防止のためだけでなく、日傘をさして日陰に入ることで
暑さが随分和らぐので、重宝します。

日本の老舗傘ブランド、槙田(まきた)商店をご存知でしょうか?
織物の産地、山梨で作り上げられる日傘は他にはない繊細な表情と
職人の熟練した技、そして現代的なデザインが光っています。

 

 

 

傘の歴史は日傘からはじまった

 

まずは、日傘について知識を深めていきましょう。
「傘」のルーツは日傘からきているということは有名ですが、
4000年も前から使用されていたことには驚きます。
日傘はそもそも、身分の高い人が自らの権力を示すために
生まれたものです。ペルシャやエジプトなどの彫刻や壁画には
王様の頭上に天蓋のような日傘をさしている姿が描かれています。


英語のUMBRELLA(アンブレラ)は、ラテン語の
UMBRA(ウンブラ)を語源にしており、その意味は「日陰」。
今ではUMBRELLAというと雨傘を指すことが一般的ですが、
雨傘が登場するのは18世紀後半と、日傘の登場より大分遅いのです。
日本での雨傘は紙で出来た「和傘」の歴史が古く、仏教とともに
中国から伝わったと言われています。


私たちが使う洋傘が日本に入ってきたのは江戸時代です。
当初はいわゆる「舶来品」であり、非常に高価なものでした。
そんな洋傘が日本でも製造されるようになり、一般庶民にも
普及していくのは明治時代に入ってからです。

 

日傘 はなまめ

 

 

 

郡内地域独自の技、甲斐絹

 

山梨県郡内地域の織物産地には古くから伝わる
郡内織物(ぐんないおりもの)が存在します。
そのルーツは甲斐絹(かいき)と呼ばれる織物で、
富士山からの豊かな水がこの地域の織物を江戸時代
から支え続けています。


甲斐絹(かいき)とは、羽織の裏地に用いられる
薄手で美しい織物で、江戸時代から昭和初期にかけて
生産されました。
江戸幕府による奢侈(しゃし)禁止令により、
華美な織物を身に着けることを禁じられた商人たちが
こっそり裏地でおしゃれを楽しんだのが甲斐絹です。
甲斐絹は、
・細番手の糸使用で薄手、軽い
・高密度の織りでコシがある
・先染め糸で色鮮やかなデザイン
・富士の湧水による美しい発色

これらの特徴を活かし、消費地から遠いというハンデを超えて
他産地との競争の中で、高品質な織物の地位を確立していったのです。

 

 

 

織物屋がつくる傘

 

そんな甲斐絹織物をルーツに持つ槙田商店は、
江戸末期から甲斐絹織物卸業として技術を積み重ねていきます。
洋服の文化になってからは、羽織の裏地としての需要は減り、
産地の機屋はネクタイやドレスの生地などの繊細な織物を
手掛けるようになる中、槙田商店はその技術を傘生地に活かす
ことになります。
新たに、生地に防水・撥水する技術を得て、これまでになかった
「先染めの傘生地」を作り上げます。はじめは生地のみ、
その後傘本体の製造まで手掛けるようになり、
自社で一貫した生産体制が出来るようになります。


槙田商店の傘のコンセプトは、「織物屋がつくる傘」。
自社の歴史に誇りを持つように、徹底的に生地にこだわります。

「持っていて楽しくなる傘」
「ちょっと素敵に見える傘」
「大切に使いたくなる傘」

そんなこだわりを生地に表現するのは、先染めのジャガード織り。
市販されている安価な傘は、表面にプリントされているものが
ほとんどで、べったりと塗られたデザインです。
槙田商店のジャガード織りは、先染めされた様々な色の糸を
用いて絵柄を織り上げていくので、立体的な絵柄と糸の表情を
楽しむことが出来ます。絵柄の裏側は反転するので、
傘をさしていても内側からその美しい絵柄が出るのです。

 

 

 

大人のための、楽しい日傘

 

 

菜シリーズは、そんな槙田商店の技と特徴を存分に取り入れた日傘です。
デザインしたのは当時東京造形大学の学生だった方で、その後槙田商店に入社、
その1年後に製品化されました。

 

日傘 とうもろこし

 

日傘 にんじん

 

その名の通り、とうもろこしやにんじんなど、様々な野菜をモチーフにした
日傘です。素敵なのは、ちゃんと「大人が持つ」ことを計算に入れた
デザインであること。閉じている時、開いた時それぞれの姿に、
言われてみれば「なるほど、あの野菜らしさがある」と分かる程に
とどめたディテールに幼稚さはなく、大人が持つに値する美しさがあります。
このデザインには「野菜たちのように日差しと楽しくつきあえる日傘」
というコンセプトが含まれています。

 

日傘 にんじん

 

日傘 とうもろこし

 

槙田商店ブランドページ

 

傘を閉じている時はつぼみ、開いた時にはまるで花が咲くようにと、
いままでにないストレッチ素材の糸を使い、ポコポコと凹凸のある
生地を用いています。
試行錯誤を重ね、通常より手間のかかる製法で手作りされる日傘は、
工程が複雑で難しいために少量でしか生産が出来ないのだとか。
熟練の職人さんたちが、伝統だけに頼ることなく新しい素材や技に
挑戦した結果、生み出されたものなのです。

 

 

 

ジャガード織り、その表情の魅力

 

日傘 紫おくら

 

日傘 紫おくら

 

閉じている時の、くしゃくしゃとシワのある生地はこれまで見た
こともありません。開くとジャガード織りで施された糸の模様が
ピンと張り、全く違う表情を見せてくれます。
傘を持った時、内側に見える表情もまた素敵です。
さしている人だけに向けた、粋な演出ですね。

 

日傘 紫おくら

 

日傘 えのき

 

にんじん、とうもろこし、紫おくら、えのき、花まめ、
はくさい、まめの7種類全て、異なる織りによる模様が美しく、
それぞれの野菜の特徴を捉えています。
近くで見ると、傘生地の表面を糸が飛んでいるのが分かりますが、
素人目にしてもその繊細な技術力の高さをうかがうことが出来ます。

こういったディテールの一つ一つに気が付くことで、
ものへの愛着は深まっていくものなのだと、改めて感嘆します。

 

 

 

日傘を長く愛用するために

 

職人さんの手によって生み出される繊細な日傘、
ぜひ大事に、長くご愛用頂きたいです。
意外と知らない、日傘(傘)を使用する上での注意事項をまとめました。

 

日傘 はくさい


・開く時はウォーミングアップから
日傘に限らず傘全体に言えることですが、閉じてストラップで
とまっている傘を開く前にはウォーミングアップが必要です。
ストラップを外してすぐに力まかせに開いてしまうと、布同士の摩擦で
開くのが追いつかず、骨にも生地にも負担がかかります。
ストラップを外したら、軽く左右に振って生地が開いてから、
ゆっくり傘全体を開いてください。

 

日傘 紫おくら


・生地への優しさを持って
先述のように、槙田商店の生地は表情豊かなジャガード織りです。
糸を織り上げ、デザインを立体的に表現しています。
そのため生地の表面にストレッチの糸が飛んでいる箇所が多いので、
指輪などを引っ掛けないようお気をつけください。

 

・長持ちの秘訣は数本使い
日傘は使用中、春夏の強い紫外線にさらされ続けます。
紫外線は生地の脆化や変色、退色を招きますので
使用後の保管は風通しの良い光の当たらない
場所で保管してください。

日傘も靴と同じように、出来れば復数本をローテーションして
使用して頂くと、1本1本の寿命が長くなります。

 

日傘 にんじん

 

・濡れてしまったら
槙田商店の日傘は汚れがつきにくいよう、撥水加工をしてありますが、
防水加工ではないので、水を通します。雨にはお使いいただけません。
しかし、急な雨で日傘が濡れてしまうこともありますよね。
そんな時は慌てず、風通しの良い場所で半開きにして陰干ししてください。

 

・汚れが目立ってきたら手洗い
使ううちにどうしても付いてしまう汚れ。
通常の日傘と同じように中性洗剤をうすめた溶液で、生地を優しく
拭いてください。ただ、糸が生地表面をとんでいて引っかかりやすいので、
その点を注意してください。その後水で洗い流したら、
直射日光の当たらない風通しの良い所で、半開きで乾かします。
スチールの骨を使っているので、ちゃんと乾かしきってから畳むことが大事です。
水分が残っているとサビの原因になりますので、ご注意くださいね。

 

・シーズン終わりのメンテナンス
シーズンが過ぎて次の春まで長期保管する時には、
そのシーズンの汚れを落としてからにしましょう。
上記の手順で洗い、完全に乾かしたら大判の紙でくるくる巻いて
ホコリ対策をしたら、直射日光の当たらない風通しの良い場所で
保管してください。

 

 

 

槙田商店ブランドページ

投稿者: 丸山 日時: 2016年04月12日 11:00 | permalink

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