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漆器の産地・福井県の木地工房へ、ZUTTOオリジナル重箱製作の裏側。

 

販売開始からご好評いただいている、ZUTTOの長方形の二段重箱。普段から使いやすい形になるように、工夫をこらして出来上がった重箱です。

>>商品について詳しくはこちらから

 

 

 

今回のよみものは番外編で、実際に重箱の製作をお願いした木地屋・井上徳木工さんへの取材をレポートしたものです。福井県鯖江市の工房までスタッフが実際に足を運び、ものづくりの様子を間近で感じる、とても貴重な体験をさせていただきました。

 

 

秋の深まる頃、工房にお邪魔しました

 

取材に伺った日は、秋が深まった10月末のこと。

福井県鯖江市の河和田地区は、漆器だけでなく眼鏡作りも盛んな地域で、工房が多く集まっています。井上徳木工さんのすぐ近くに、ろくろ舎さんtesioの谷口眼鏡さんなど、ZUTTOでもお世話になっているメーカーさんがあります。

 

 

 

工房内に入ると、ふわっと木の香りがしました。数名の方が各々作業されていて大きな音もなく、穏やかな雰囲気です。

 

井上徳木工さんは、越前漆器のベースとなる「角物」の木地を中心に制作されている工房。角物とは重箱やお盆、小箱などの箱物のこと。漆など塗装を施す前段階の、木の板から箱が成形される場所です。

 

▲案内してくださった井上さん。

 

まず、箱の形ができるまでの流れを説明していただきました。

 

【1. 木取り】

 

作る製品にあわせて適切な材を選び、大きな木材を切って板状にしていきます。もともとは板状で仕入れていたそうですが、今は大きなブロックの木材を保管して、都度適切な大きさにカットされているとのこと。木材の無駄も出にくく、手を動かす工房らしい柔軟な対応が感じられます。

 

【2. 部材加工】

組み立てる前に、それぞれのパーツを機械や手を使って成形する工程です。この日は木材を45度にカットする機械を見せていただきました。留め継ぎ加工という井上徳木工さんが得意とされている加工です。

 

 

▲刃の角度が調整できる仕組みになっています。

 

この機械には角度を調整する目盛りがついていますが、それに合わせれば良いということではないのだそう。目で見て、細かく手で調整して加工します。

 

▲少しずれるだけでも綺麗な直角にならないので、丁寧に仕上げていきます。

 

角を作るのは2枚の板。45度に加工して合わせるというとてもシンプルな構造ですが、だからこそ精度の高い加工が求められます。

 

【3. 組立て】

 

出来上がったパーツを箱の形に組み立てていきます。この日の重箱は、この工程内の、角のクサビを接着させる作業中でした。

 

 

 

一つ一つ、手作業で角にクサビをはめていきます。

 

【4. 仕上げ】

 

最後に、全体を確認して木地は完成します。今回は漆を塗らず、木地がそのまま見える仕上げなので、より一層細部の作りの良さが影響します。

 

 

こうして箱の形が出来上がった後は、塗りの工房へと移動。分業制で行われる角物制作ですが、今回の重箱が完成するまでかかった時間はおよそ1ヶ月。様々な人の手をわたって完成に至っているのです。

 

木を加工する場所は一つの大きな空間になっていて、工程ごとに使い分ける複数の機械が並んでいます。

 

 

その空間を抜けると、奥には木を保管する場所がありました。

 

 

暗くひんやりとした空間に大きな木の板が複数保管されています。

 

 

いろいろな樹種があるように見えますが、実際は5種類程度。漆器の生地に使う樹種と今回のようなクリアに仕上げる場合では選ぶ樹種が異なってくるとのこと。工房が位置する福井県を含む北陸地方は一年中湿気が多く、太平洋側のいわゆる「乾燥する冬」とは気候が異なるので、年間を通して湿気は常に気をつけながら保管する必要があるのだそう。

 

「そういった気候の違いから、工房で作ったときは問題なかったものでも、お届け後に暖房の乾燥が重なって木が反ってしまうなど形が崩れてしまうことがあるんです。もしそうなってしまった場合は、修理対応などできることがないか考えますので安心していただきたいですが、『暖房の乾燥を避けること』は注意していただくといいかと思います。」

 

また2階には、過去からの全ての試作品が保管されている部屋が。圧倒されるほどの数で、創業以来の井上徳木工さんの歴史が詰まっているようでした。

 

 

 

 

すっきりとした、モダンな重箱に。

今回のオリジナル重箱の仕様についてもお話を伺ってきました。

 

印呂蓋​とは?

 

「印呂蓋(いんろうぶた)とは、別名・合口型(あいくちがた)とも呼ばれています。ちなみに、他には板が一枚のるだけの『板蓋』、本体より大きくして上に被せる『被せ蓋』などがありますね。

 

この印呂蓋は、側面がフラットになって一番すっきり見える形です。本体と蓋が噛み合うところは、木を削り出して作られてる分手間がかかっています。また、蓋が箱よりも高くなるため、料理が蓋裏につきにくいというメリットもあるんです。」

 

 

 

意匠性も併せ持つクサビ付き留め組み

 

「このクサビは箱がばらけないように付けているもので、元々機能を持ったものです。ただ、今回本体の明るいタモ材に対して色の濃いウォールナットをあわせたのは装飾の意味合いで選びました。」

 

▲食卓に並んだときも、ふと目に入るクサビ。和モダンな印象を作ります。

 

 

タモ材の理由

 

タモ材は、ナチュラルで淡い色とハッキリと現れる均一な美しい木目が特徴の樹種です。今回のようなクリアな仕上げの場合には、木目の色味や美しさが大切なので、タモ材を採用しました。」

 

 

「もし漆を塗るのであれば、タモ材よりもっと木肌は滑らかな材を選びます。縮みやすい材も向いてなかったり。仕上げによって合う合わないがあるので、過去の経験も踏まえながら材を選定しています。」

 

 

使い勝手のよいウレタン塗装

 

 

「ウレタン塗装は、普段使いにとても向いている仕上げだと思います。今回の重箱は、箱作りに2週間、塗装2週間、合計1ヶ月程度かかっていて、塗装も一度塗って終わりではなく、何度も塗り、乾かしてを繰り返し、その後塗装の匂いが和らぐまで保管してからお届けしています。」

 

 

「もし使う前に匂いが気になる、と思われたら日の当たらない風通しの良い場所に置いておいてください。自然と匂いがなくなっていきます。」

 

 

使い方Q&A

 

Q1. 使うにあたり、何か気をつけた方がいいことはありますか? 

 

「先にお伝えした通り、乾燥を避けるためエアコンの風が直接当たるような場所、直射日光が当たるような場所に置くことは避けていただきたいですが、ウレタン塗装なので特別な注意は要りません。気軽に使っていただければと思います。

 

使った後は、中性洗剤を柔らかいスポンジにつけて洗う、普通の食器と同様の扱いで大丈夫ですよ。ただ、食洗機は木が割れたり反れたりすることがあるので使わないようにしてください。」

 

Q2. 自然乾燥させても問題ないでしょうか?

 

「カゴやざるなどに伏せて、水切りしながら自然乾燥でも大丈夫です。特に水滴などを素早く拭き取らないといけないことはありません。気をつける点とすると、長時間水に浸したり、ヒーターなどの前での乾燥させたり、といったことは避けていただきたいです。」

 

Q3. お直しはできますか?

 

「使っていく上で何か気になることがでてきたら、できる限りお直しします。そのケースによってできることは変わってくるので、現物を確認した上でご提案することになるかと思います。」

※お直しご希望の方は、ZUTTOカスタマーサポートまでお問い合わせくださいませ。

 

 

この取材から数週間してようやくZUTTOの倉庫へ到着したのが長方形の二段重箱です。ものづくりの裏側を知ると、より一層愛着が湧きますね。ZUTTOのお客様に使っていただけることを、スタッフ一同楽しみにしております。

 

▼長方形の二段重箱はこちら

 

▼重箱にあわせて作ったオリジナルあづま袋はこちら

 

投稿者: ZUTTO編集部 日時: 2022年12月11日 11:00 | permalink

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