【12/13(金)まで送料無料です(一部地域除く)】最短で翌営業日に発送
We ship overseas. Click here for details.

 

 

丈夫な本縫い座布団の仕立てはそのままに、ソファ生活にも合う本縫い「こざぶ」クッションが出来上がりました

 

江戸型染めをアレンジした手法で守袋や座布団を手掛けているponpindo(ポンピンドウ)。ZUTTOでもご紹介している本縫い小座布団は、一般的に想像する座布団よりもふた回りほど小さく、まるでクッションや背当てのような愛らしさ。

今回、その本縫い小座布団をベースにZUTTOが考える「使いやすい」仕様に変更して別注品を作っていただきました。

 

 

 

「座布団=和物」のイメージを変える別注をお願いした理由。

 

ponpindoは伝統的な紋様に、これまた伝統的な本縫い仕様の座布団を組み合わせた小さな座布団を提案しています。手の届かない伝統工芸品ではなく、日々使える生活の道具として落とし込まれた本縫い小座布団はZUTTOでも販売開始以降多くの方に手にとっていただきました。

 

△ベースとなった、型染め本縫い小座布団

 

一方で、畳よりフローリング+ソファ・椅子生活が大半の現代の暮らしにおいて、小座布団の和テイストを洋テイストに変えることが出来れば、より使いやすくなるのでは、とも感じていたのです。クッションのようにソファに置いていても違和感なく、椅子の背当てとしても使えて、かつ床に座るときの座布団としてももちろん使えるものを。

 

そして、伝統的な本縫い座布団の仕様である「長期間の使用とメンテナンス可能な製法」の良さも取り入れられるものにしたい、という希望もありました。

 

この想いを ponpindoさんに伝えたところ、デザインと製造方法の両面からアプローチした別注の本縫いクッションを作っていただけることになったのです。

「取り入れやすい洋テイストだけれど、本縫い座布団の仕様」に別注することは、職人さんにとっても初めての試みで、色々と試作をしてもらいました。

和っぽい印象を作る座布団の「四方の房」をなくすのはどうか、真ん中の飛び出ている糸を裏面だけに出来ないか、ソファでも使いやすい形はどういうものか、と検討を重ね、たどり着いたのがこちらの【本縫いこざぶクッション】です。

 

 

 

本縫いこざぶクッションはどうやって出来る?製造裏を見に行く

 

別注の江戸型染め本縫いこざぶクッションがどうやって出来るのか知りたくて、布団職人さんの元を訪れました。

中村さんは、この道50年以上の布団職人さんです。綿布団の作り方と座布団の作り方は基本的には同じだそうで、布団も、座布団も作っていらっしゃいます。綿を扱っている職人さんのイメージにぴったり、柔らかい笑顔が印象的なおじいちゃんでした。

 

皆さん、綿布団や座布団がどのように作られているかご存知ですか?恥ずかしながら私は知らず、「ぬいぐるみのように、ほわほわとした綿のボールが入っている」と思っていました・・・。

 

 

使用する中綿はこちら。いきなりイメージを覆すように、ほわほわした綿ではなく、シート状のものが登場しました。もちろん、綿なので触るとふわっと柔らかいのですが、重なって折り畳まれているそれは綿とはいえ、しっかりとした手触りです。

 

洋服に使われる綿は、一般的に繊維が長く細いものが手触りが良く重宝されますが、布団や座布団に使われるものはその逆で、「太くて短い」綿が良いのだそう。繊維が空気を含んでふっくらし、丈夫であることが一番の理由です。品種改良されていない、原種に近い綿の方が座布団やクッションには適しているとのことですが、繊維が長い綿花を栽培する農家が増えているために、座布団にとって理想の綿は最近ではなかなか手に入りにくくなっていると、お話してくださいました。

 

シート1枚が約300gで、これを丸々小座布団の中に入れていきます。

 

手順としては、

 

1.三辺が縫われた座布団カバーを裏返しにした状態で、上にシート状の綿を置く

 

2.カバーのサイズに合わせて綿を手で切る

 

3.同じ手法で綿を上に重ねていく

 

4.クッションの真ん中が厚くなるように、他の箇所は厚みが均等になるように綿の分量を調整し、ちぎってはどこかに足し、厚みをならしていく

 

5.一番下に敷いた綿シートで全てを包むように、折り紙のように内側に折り込んでいく

 

 

6.クッションカバーの開いている一辺から、ひっくり返すように綿を中に入れ込む

 

7.中の綿を整える。四隅にも綿が行き渡るように微調整する

 

8.絹糸で一辺を縫い、また中綿を固定するためにクッションのおへそ部分を縫う

 

中村さんの作業の様子は、動画でもぜひみていただきたいです。

 

 

 

中村さんの全ての工程がスムーズでとてもスピーディー。無駄のない流れるような手さばきに、思わず見入ってしまいます。綿のシートが重ねられていったと思ったら、気が付いたらクレープのように包まれて表面はとても滑らかに。その次の、カバーを表側に返しつつ綿を中に一気に入れ込む様子は力強さも感じる作業。

 

日本の伝統的な本縫い座布団は、使用するにつれ中の綿が動いたり寄ったりしないように生地と中の綿を縫って固定し、装飾的に房を出しています。それを四隅に施し、かつ座布団の真ん中に十字の縫い目を入れることで隅と真ん中で固定しているのです。

 

 

今回、ZUTTOの別注品としてお願いした本縫いこざぶクッションは、いまの暮らしにも合うよう、四隅の装飾房はなくし、真ん中のおへその縫い目は十字ではなく一字で縫って頂くことに。加えて、真ん中部分の房は裏面のみにしてもらいました。「通常の座布団より小ぶりだから、真ん中の一留めで問題ないですよ。」と、中村さん。

 

 

「こんな座布団初めてだよ」と笑いながらも、丁寧に作業をしてくださっていました。

 

 

小紋をアレンジした、洋のデザインを楽しむ

 

企画段階で、別注の本縫いこざぶクッションは、フローリングにソファ、椅子の暮らしにあうよう小座布団をアレンジしたいんです、とお願いしたところ、ではデザインもそれに合わせて新しく作りましょう、とponpindoの大野さんにご協力いただきました。テキスタイルデザイナーでもある大野さんからのご提案は、伝統的な紋様を現代風にアレンジすること。

 

出来上がった3デザインはこちら。

 

 

・花小紋:様々な意匠に使われてきた、古典的な紋様。白い十字花の真ん中に黄色がポイントです。

・草花紋:続き柄ではなく、一つの絵のように存在感ある柄に。

・三くずし:「算術」の際に用いられる長方形の道具「算木」を並べたモチーフ。江戸の粋を感じさせる、シンプルなデザインです。 

 

 

ponpindoは、江戸型染めを現代風にアレンジした独自の染色法を用いてデザインを描いていきます。

型紙に小刀で紋様を彫り、それを元にクッションカバーに型をとったら、その後蒸すことで型の通りに色が抜かれます。 

 

色が入るデザインには、筆で一点一点色をつけていきます。

 

 

さて、先ほどから「こざぶクッション」と呼んでいますが、「こざぶ」とは?と疑問に思った方もいらっしゃるかもしれません。

こざぶとは、「小座布団(こざぶとん)」の略。この別注品についてやり取りをしている間、ponpindoの大野さんがずっと「こざぶ」「こざぶ」と呼んでいたので、いざ商品名を決める時にこの名称を入れたくなってしまったのです。

 

 

クッションとしての要素も強くして頂いたけれど、単なるクッションではなく、やはりこれは伝統的な日本の座布団でもある、と取材を通して思いを強くしたことも、商品名に「こざぶ」を入れることにした理由でもあります。時にはクッション、時には小座布団。そんな自由な使い方で暮らしに取り入れてください。

 

 

 

安心して長く使うための、「打ち直し」について

 

布団や座布団のメンテナンスとして、「打ち直し」があります。これは、使用するにつれ中綿がへたってしまったり、綿が寄ってしまった際に職人さんに施してもらえるお直しのこと。

有料ですが、作ってくれた職人さんがメンテナンスもしてくれるという安心感が魅力ですね。実際に、打ち直しではどのようなことをしてもらえるのでしょう?

 

 

1.まず、ponpindoの工房でカバーと中綿とに分け、カバーを洗浄します。色付けされている部分が色褪せていれば、染め直しをする。

2.カバーと中綿は中村さんと綿屋さんの手に渡り、中綿は洗浄しゴミを取り除き、硬くぺしゃんこになった綿を柔らかくしていきます。重さを量り、場合によっては綿を追加する。

3.職人の中村さんが再び中綿をカバーに入れ、綺麗に縫製し直します。

 

ponpindoの小座布団で打ち直しをお願いされる方は大体5年ほど使用した方が多いとのことですが、多くの方が打ち直し後の綺麗さや綿のふっくら具合に驚かれるのだそう。

 

また、中村さんが仰るには

「これまで色々な布団や座布団を手がけてきたけど、ponpindoさんの座布団はカバーに使っている会津木綿の生地も、中綿のインド綿もすごく品質が良いよね。ちゃんとメンテナンスすれば10年くらい使えるんじゃないかな。」

 

 

 

江戸型染めと本縫い座布団の技術、そして高品質なインド綿。

いまや貴重になった3つの要素を組み合わせて出来上がるのがponpindoの本縫い小座布団。もしかしたら、近いうちに同じ品質のものは作れなくなってしまうかもしれない、という懸念も、残念ながらその価値を高めている要素ではあります。ですが、単純に「高品質で、長く使うための工夫がされた良いもの」としての魅力を伝えるべく、今回ZUTTOでは別注の本縫いこざぶクッションをお願いしました。

そこにあるだけでみなさんの生活を彩り、時に背中や腰を労わり、目にした時にほっこりとした気持ちになって頂けたら、とても嬉しいです。 

 

 

▼【別注】本縫いこざぶクッション 商品ページはこちら

投稿者: 丸山 日時: 2020年03月01日 11:00 | permalink

閉じる