暖かくなってどんどん軽装になるのが楽しく、そして嬉しくなる季節。日中は暖かいけれどサンダルにはちょっと早い、そんな今にちょうどいい靴がスリッポンです。「季節を楽しめる靴が欲しい」「カジュアルに振り切らずに、軽快な印象でぐんぐん歩けるコンフォートシューズがなかなか見つからない」そんなお悩みを解決すしてくれる、気軽な気持ちで近所をお散歩したくなる相棒であると同時に、お洒落着にもなる万能シューズなのです。
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▼ブランド別に見るスリッポン
お医者さんが履くドクターシューズがモチーフ。chausserのレザースリッポン。
春の陽気に誘われたお散歩の時、近場へお買い物、更にはたくさん歩く休日の街歩きの時など、軽快なお出かけにぴったりなスリッポンシューズ。子どもやペットと出かける時など、自分以外にも気にしなければならないことの多い大人には、迷うことなくサッと足を入れられる靴があると本当に便利。これ!というスリッポンに出会えたなら、玄関で悩むことなく気軽に出掛けられそうですね。
改めて、スリッポンシューズとは?
SLIP ON(滑らせて入れる)から、そう呼ばれるようになった、スリッポン。その脱ぎ履きのしやすさが特徴で、玄関先で靴紐をほどいたり、結び直したりする手間がありません。履くときだけでなく、着用時の心地良さも特徴。脱ぎ履きしやすい靴であるパンプスと比べても、足の甲をカバーしてくれるので、指先に力を入れなくても脱げにくく、更には長時間歩いていても疲れにくいというメリットがあります。
ただ、スリッポンというと、キャンバス生地のイメージで、どちらかというとカジュアルな印象。デニムパンツやコットンのロングスカートに合わせて履いている方もいらっしゃいますよね。「普段はカジュアルと同じくらいきれい目なお洋服も好きだから合わせにくいかも・・・」実は、そんな方にもデザインや色、素材にこだわって、カジュアルなスニーカーときれい目なパンプスの間の”ちょうどいい靴”としてスリッポンを是非おすすめしたいのです。
春夏のふんわりとしたロングスカートにもちょうどいい
季節柄、足首を見せるデザインのお洋服が多くなります。マキシワンピースから、ハンパ丈のパンツ・スカートなどは、靴とボトムスの丈感の相性が気になって、しっくりこないことも。そんな悩みも、足首がしっかり出たデザインのスリッポンにはありません。時にはサンダルを素足で履くように、時には靴下とコーディネートして、季節をまたいでちょうど良く履ける靴なのです。
一言でスリッポンと言っても、素材・脱ぎ履きのしやすさやカッティングなどのディテールも様々。ZUTTOが提案する、大人が履きたいスリッポンの選び方をご紹介。
大人が履きたい、スリッポンの素材は?
休日の街歩き、近所のお散歩、友人とのランチなど、思い切りカジュアルに振り切りたくはないけれど、仕事用の靴や、疲れやすい靴は履きたくない。そんなわがままな大人の休日には、レザーを使用したものや、レースをあしらった上品な一足がおすすめです。履くほどに柔らかくなるレザーや、足に柔らかくフィットするスエード、涼しげなレース使いは、普段のコーディネートに上品なリラックスムードをプラスします。
サイズはどうやって選ぶ?
スリッポンは紐で結んで調節が出来ない分、サイズ選びを難しく感じる方も多いのではないでしょうか。基本は素足に近い状態で履くことが多いので、【足の長さ】に合うサイズを選ぶのが良いでしょう。最初は少し小さく感じて靴擦れしてしまう場合もありますが、レザーやスエードのものだと、多少伸びたり、柔らかく馴染んでくることが多いです。
履きやすさのためのディテールに注目
シンプルなかたちだからこそ、細かなディテールに注目して自分に合ったものを選ぶと良いです。
例えば、甲が深いスリッポンには、足を入れやすいようにカッティングが入っている場合があります。このショセのレザースリッポンは、カッティングが履きやすさとデザインの両方を兼ね備えています。横から見ても美しいですね。
GRID DECK SLIPON KINARI×OFF WHITE
伸縮性のないキャンバスのスリッポンの吐き口の一部がゴム仕様になっているのも、脱ぎ履きへの配慮とも言えます。
ぐんぐん歩ける、ソールへの工夫
脱ぎ履きのしやすさという点以外にも、歩きやすさに配慮したソールもスリッポンの注目すべきポイントです。
1970年代のアメリカ製デッキシューズを元に製作した当時の美しいシェイプを持つラスト(靴型)を使用して作られているAsahi(アサヒ)のスリッポン。原型となったデッキシューズとは、ヨットやボートなど船の甲板(デッキ)で使用するためのシューズのことで、水に濡れた甲板でも滑らないような工夫が工夫が必要でした。アウトソールに入った波型の切れ目もその工夫のひとつ。地面をしっかり捉えながら、一歩一歩足に吸い付くような履き心地を実現しています。
TOKYOSANDAL(トウキョウサンダル)のスリッポンは、人間工学や足病医療の視点から追求されたソールの形状。かかと部分はお椀型にへこませ、土踏まず部分はアーチに沿うよう膨らませることで足へのフィット感を高めています。歩くときの負担を軽減し、快適な歩行をサポートしてくれるソールです。
スリッポンは足の甲を生地(レザー)で覆われています。だからこそ、色合いがうまく合わなかった時は少々アンバランスに見えてしまうことも。コーディネートカタログを見ながら、お好きなスリッポンでイメージを膨らませてみてください。
■スウェットとも相性◎、リラックスした雰囲気を演出
旅行用に生み出されたSECCHIARI MICHELE(セキアリ ミッケーレ)のスリッポンは、リラックスした雰囲気のスウェットともよく合います。上質なスエードレザーを使用しているので、街歩きから、お洒落なレストランでのディナーまで使える、旅行の装いにもぴったりな一足です。
■ベージュとオレンジのトーン調整をする、白いレザースリッポン
使い回ししやすいホワイトのレザースリッポン。今回は、白っぽい色合いをTAMPICO (タンピコ)のバッグのリネンの色と合わせました。バッグと靴の雰囲気やトーンが合うだけで、他のお洋服にも応用できそうです。
■柔らかな装いの中に、靴やアクセサリーの素材でスパイスを
PRAS(プラス)のSHELLCAP SLIP-ON KINARI/BLACKを、リネンのロングスカートに。靴がシンプルな分、アクセサリーなどの小物で遊ぶのも楽しいですね。
■マニッシュな見た目を程よくぼかす、レディなタッセルスリッポン
柔らかい牛革と仕立ての良さ、そして絶妙なグレージュカラーが足元にドレッシーな印象を与えるDIVINAのタッセルスリッポン。バッグやカーディガンはスリッポンのグレージュの色味に合わせてグレーがかった淡い色を選択。デニムスタイルながらカジュアルになりすぎずまとめてくれます。
キャンバス地の一見カジュアルなスリッポンなのに、そのすっきりとした形と色合いで、ほんのりドレスライクな上品さも感じるAsahi(アサヒ)のスリッポン。
幅広いサイズ展開をしていますが、サイズが偏ることなく選ばれているのが特徴の、まさに「ユニセックスシューズ」といえます。自分が使っていて良いなと思ったから両親にプレゼントした、パートナーや友人へのプレゼントにしたなど、一度使うと他の人にも勧めたくなる普遍的な美しさです。
クリーンさが際立つモノクローム色は、今のAsahiのスリッポンの中で一番ドレスライクに使える一足ではないでしょうか。ステッチやラインなども入っていない、ミニマムなデザイン。モノトーンなお洋服にはもちろん、春らしいカラフルな服装を引き締めるのにも。テーパードパンツやスラックスと合わせても。
トーンが合わせやすいグレーのスリッポン。普段から柔らかいトーンのお洋服が好きな人にはもちろん、Asahi愛用中の方の2足目にも。
chausserの靴は、レースアップやパンプス、スニーカーやバレエシューズまで本当に幅広く人気ですが、その中でもぜひもっとその魅力を伝えたいのが、このレザースリッポン。chausserのレザーシューズは見ているだけで惚れ惚れしてしまうようなフォルムで、シューズクローゼットの中にあるだけで満足してしまう気持ちになるのですが、その歩きやすさもぜひ体感してみていただきたいのです。
chausserらしい作りの美しさはさることながら、丸みを帯びたデザインと、サイドの美しいカッティングがクラシカルで大変美しく、職人の高い技術を感じさせます。元々はお医者さんが履く「ドクターシューズ」に由来した形のため、脱ぎ履きしやすく、足に負担がかかりにくいのです。重厚な佇まいが、合わせるお洋服によって少しずつ異なる表情を見せてくれるのもこのスリッポンの魅力。カッティングがきいているので、はっきりとした配色の靴下とあわせて色遊びも楽しめます。履くほどに足に馴染み、味わいを増していく魅力はレザーシューズならでは。足首の見えるボトムスやふんわりとしたスカートと合わせると、そのハンサムな佇まいがより引き立ちます。
SHELLCAP SLIP-ON OFF WHITE/OFF
SHELLCAP MOULD SLIP ON KINARI/BLACK
1960年から豊田織機で製造されている児島帆布を採用した、PRASのスニーカー。「シェル」という名の通り、爪先が貝(シェル)のようになっている見た目と、使い込むほどに風合いを増していく素材、そしてシンプルでナチュラルな雰囲気が唯一無二の一足です。
GRID DECK SLIPON VENTILE OLIVE×BLACK
GRID DECK SLIPON KINARI×OFF WHITE
GRID DECK SLIPON VENTILE BLACK×BLACK
こちらは履き口の真ん中にゴムを入れたデザイン。時を越えても色あせない普遍的なデザインの中に、PRAS的な要素をミニマムに加えることで新たな定番を目指したシリーズの一足です。さらにBLACK×BLACKとOLIVE×BLACKには、ベンタイルウェザーという、冷たい海中でも生命が守られるようにと英国空軍パイロットの耐水服として開発された、世界でも最長レベルの綿繊維を使用して超高密度に織りあげた生地を使用。急な雨にも心強いスリッポンなのです。
レースやメッシュ生地など他ブランドでは見られない女性らしいデザイン性のあるシューズブランド、JOYKS(ジョイックス)。ブランド自体はイタリア・ピサのVALENTIN社が手掛けるオリジナルブランドで、1940年、イタリア中部トスカーナ州ピサにて創業し、「サケット製法※」を得意としたファクトリーで作られています。古き良きイタリアの技術力と機械を融合させ、今なおこだわりのハンドステッチを継承し続けているJOYKSは、長く快適に履き続けられるための技法へのこだわりと、高いデザイン性が魅力です。
※サケット製法:イタリア語で「小さな袋」の意味で、歩行時の衝撃を和らげるクッション入りの中敷とアッパーを縫い合わせ袋状にした後、木型に合わせて固定したもの。アッパーの部分にエスパドリーユのようなジュートを手作業で巻いており、中底がないため軽くソフトな脱ぎ履きが叶い、ソールの返りが良く屈曲性に富むので、足の動きに合わせてしなやかにフィットします。
2133BT フリンジスリッポン(BLUE ELECTRIC SUEDE)
2337T レーススリッポン(BLACK SUEDE LACE)
履きやすさにこだわりを持ち、ユニセックスなデザインから、リボンやレースといった女性らしいディテールを備えたアイテムまで、バリエーション豊かに揃えているのがJOYKSです。
せっかくお気に入りの一足を見つけたなら、できるだけ綺麗に長く使いたいもの。そんな時に覚えておきたいことをご紹介します。
素足で履きたくなるけれど、フットカバーを履くのがベター
浅い靴には指の付け根部分をカバーするタイプも
スリッポンはもともとアメリカの西海岸の若者たちを中心に始まったもので、サーファーが砂浜で素足に履くものとして流行しました。だからこそ素足で履きたくなるものの、レザー素材では注意が必要。汚れが付きやすくなったり、雑菌が繁殖しやすくなります。また、日本の高温多湿な春夏には、足の裏にも汗をかいてしまうことも多く、インソールの汗ジミや黒ずみの予防のためにも、フットカバーを着用するのが良いでしょう。フットカバーはアッパーの深さに合わせて選んでください。
カジュアルだからと、ついやってしまう、踵履き
すぽっと履くことの出来るスリッポンだからこそ、靴を履くときに踵を軽く踏んだりするのはご法度。一度踏んでしまうと癖が付いてしまい、踵を潰して履いてしまうきっかけにもなりますので、踵を潰さないように靴べらなどを玄関にご使用ください。
TOKYOSANDAL(トウキョウサンダル)のスリッポンは、かかと部分にもベルトを通すことで、かかと部分がクタッとなりにくい配慮がされています。
スニーカークリーニングキット(SHOE SHAME)を使用する
スリッポンは紐靴やパンプスと違って、足の甲の部分にフラットな部分が多く、傷や汚れがついた時に目立ちやすいという点があります。頻繁にケアする必要はありませんが、綺麗に履くために、クリーニングキットを使うのも有効です。こちらの「ON THE GO KIT」には防汚スプレーも付いているので、履く前にシュッとひと吹きしておくことで汚れが付きにくくなります。洗う際には、水にざぶざぶ浸ける必要がないので、乾きも早いのが嬉しいですね。レザーのスリッポンの場合は、通常のレザーシューズのケアを行ってください。
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