ファッションの定番、ボーダー。春夏のカットソーはボーダーで揃えている、と制服のように楽しむ方もいるほど、定番中の定番アイテムです。世界中で広く愛されているボーダー柄のアイテムは、横線だけというシンプルな見た目のおかげで、トップスの形、素材、編み方、色、線の太さによって多様な印象を与えます。今回は「ボーダー」に焦点を当て、お気に入りの一枚を選び、楽しむための特集です。
「ボーダー(Border)」とは、英語で「縁(ふち)」や「端」を意味します。英語で縞模様のことは【ストライプ(Stripe)】と表記しますが、日本では横方向に入った縞模様という意味で「ボーダー」が定着しました。実は、元々は衣服の袖口に施された縁取りを表していたそうです。
ボーダー柄が意味するものは、例えば道化師の衣装がボーダー柄だったように、「境界」や「従属的であること」を暗示させました。一目見てわかるその視認性の高さが、目印のように使われていたのですね。
遡ること18世紀・フランス革命真っ只中の時代。そのフランスの国旗の赤・白・青のトリコロールは「革命」の象徴として広く知られていきます。フランス国旗のトリコロールはもともと横方向の縞模様だったことから、ボーダー柄が革命を意味するようになり、市民の衣服にも積極的に取り入れられるようになりました。
さらに1853年にはフランス海軍の制服にボーダー柄が採用されます。白や黒、白とインディゴといった分かりやすいボーダー柄は、視界の悪い海上で目立つことが決め手となったようです。この辺りから徐々に海でのボーダーファッション=水兵という印象が付き始めます。1920年代には漁師服として認知されていたボーダー柄のバスクシャツが南仏のリゾートウエアとして人気を博したことで、ファッションの定番柄としてボーダー柄が広く定着するようになりました。
長い間、多くの人々に愛用されたボーダー柄は、時代によって様々な意味を持ちながら変遷を遂げてきたことがよく分かります。
ZUTTOでご紹介しているボーダーカットソーの一部をご用意しました。定番のアイテムだからこそ、人とはちょっと違う良いモノを。そんな方にオススメのブランドからピックアップしています。
1. ボーダーカットソー MATELOT/Fileuse dArvor(フィールズダルボー)
まずは春先から着られる、丈夫で肉厚なカットソーを一枚。Fileuse d'Arvor(フィールズダルボー)はフランス・ブルターニュの港町であるカンペールで創業したブランドで、当時からマリンウエアを幅広く展開しています。その信頼は、フランス海軍のオフィシャルサプライヤーとして活躍していた実績もあるほど。
ご紹介のカットソー MATELOTは、コットン100%のボーダーカットソー。上質なコットンをたっぷりと使用し、丁寧に編み上げられています。肩部分の縫製は、ブランドの真骨頂とも言える補強方法で、生地を重ねて縫い合わせることによって伸びにくくなっています。フランスで商標登録されており、他のメーカーでは再現できない独自の仕様です。バスクシャツというとバリッとした質感で、肌に馴染むまでに時間がかかるイメージですが、このカットソーは程よい柔らかさが特徴。フレンチスタイルといえば絶妙なサイズ感がポイントですが、大きすぎず、かといって体の線を拾いすぎない肉厚な生地なので、流行に囚われず、長く愛用できる定番にしたい一着です。
バスクシャツという名前は、今ではフレンチスタイルに欠かせないアイテムですが、その名称がスペイン・バスク地方の手編みのニットセーターにあるという一説を鑑みると、ニットの手法を用いて作られるFileuse d'Arvor(フィールズダルボー)のアイテムは、よりオリジナルに近いのかもしれませんね。
2. ボーダーカットソー BREST(ROUGE/WINE)
同じくFileuse dArvor(フィールズダルボー)のボーダーカットソーですが、このBRESTシリーズは、柔らかめのバスクシャツに近い先ほどのMATELOTと違ってニットのようによく伸びるのが特徴。
窮屈なトップスはどうも苦手という方や、伸びないボーダーのバスクシャツを着ていたけど最近肩が凝ってしまうからクローゼットに仕舞っていた、という方にもおすすめです。ニットとバスクシャツの中間のような存在ですが、肩の部分の伸び止めの縫製はFileuse dArvor(フィールズダルボー)ならではで、長く愛用できますね。
ZUTTOがご紹介するボーダートップスは、手書きのような線の表情が珍しい、ミニパイル生地のTシャツ。20ゲージの超ミニパイル組織をメランジ調の表情を出しています。秋冬にはニットのインナーに着られるように、ベーシックな形に肩の力を抜いたリラックスなシルエットにアレンジ。
ミニパイルボーダーTシャツは、身幅とアームホールをゆったりとさせたTシャツ。どんな方にも良く似合う、肩を落として体をすっきり見せるデザインです。パイル生地のTシャツというと、どうしてもカジュアルなイメージが先行してしまいますが、今回使われているパイル生地は柔らかく身体に馴染み、程よくリラックス感のある大人のための一枚といったところ。肌当たりもやさしく、空気を含んで保温性も期待出来ます。暑い季節には一枚でさらりと、寒い季節にはセーターのインナーとして活躍しますので、季節を問わず、色違いで様々なコーディネートを楽しんで頂ける、そんな一枚です。
4. ドロップショルダー バスクシャツ/M.B.L(エム・ビー・エル)
こちらのドロップショルダーバスクシャツは、【M.B.L.】というブランドのもの。Le Minor(ルミノア)の別ラインとして誕生したブランドです。
Le Minor(ルミノア)はご存知の方も多くいらっしゃる、「バスクシャツ」といえば必ず名前が上がるブランド。ルミノアのボーダー柄は「ブレインストライプ」と呼ばれるブルターニュ地方の伝統的な柄で、地域の旗にも使われているといいます。マリンボーダーはこのブレトンボーダーのバスクシャツがフランス海軍の制服に採用されたことで認知され、ブルターニュの伝統文化を守るため、100%MADE IN FRANCEを貫いています。
さて、今回ご紹介するM.B.L.は、そんな定番中の定番であるバスクシャツを、海軍に納入していた頃の素材やデザインをベースに、洗いや染め、アンティーク加工を施して新たな提案をしています。
BEIGE/MARINE
さて、素材や編み方、色や形が異なるだけで、随分と印象が変わるボーダーのバスクシャツやカットソーですが、実際にどうやって着こなすのが良いのでしょう。もちろん一枚でも様になるアイテムなので、デニムに合わせただけのシンプルなコーディネートで十分素敵です。ここでは、ボーダーが好きだから、ボーダーの着こなし方法をもっと増やしたい方に向けて、コツやポイントをお伝えします。
ポイント1:首回りにアクセント
ボーダーのバスクシャツやカットソーは、首回りがスッキリ見えて素敵ですが、なんだか物足りなく感じる方にはスカーフや、大ぶりのアクセサリーを合わせるのがおすすめです。
先ほどご紹介したFileuse dArvor・ボーダーカットソー BRESTの色違いに、hatsutokiに別注した【別注】ダブルフェイススカーフ (70×70)を合わせました。サイズ感が絶妙で、気張りすぎない日常使いの柔らかなストールといったところ。春の風に首元がちょっと寒いかなという時に巻いても良いですし、日差しが気になる時にも便利です。残念ながらNAVY-BEIGEは完売していますが、肌馴染みの良いキャメルと、桜が待ち遠しいピンクベージュのカラーも素敵です。
首元がゆる目のタートルネックのアクセントにしたり
レザーバッグのアクセントにも(バッグはこちら:スクエアレザートートバッグ(CIOCCOLA))
さらに、モダン柄の大ぶりアクセサリーを合わせるのも素敵。ボーダーに負けないくらいのデザイン性の高いアイテムがおすすめです。
ボーダートップス:ドロップショルダー バスクシャツ(OFF BLACK/MARINE)
例えば、ISHI Jewelry(イシジュエリー)のネックレスYARAは、自然の産物を生かしたメキシカンジュエリー。メキシコに育つ草木や花から取れる天然染料で染め上げたシルク糸のタッセルが印象的で、羊革に真鍮のビーズが縫い込まれた小さなモチーフも可愛らしく、存在感があります。どことなく民族衣装のようで、シンプルなボーダーアイテムにもよく映えます。
ネックレスYARA/ISHI Jewelry(イシジュエリー)
モダンアートから着想を得たような、アートのようなジュエリーを展開する I.Ronni Kappos(ロニー・カポス)もおすすめブランド。
ネックレス1306/I.Ronni Kappos(ロニー・カポス)
色が語り合うように配置された絶妙なバランス感。ボーダーだけでなく無地のトップスのアクセントにもなります。
ネックレス SPHERE SILK LINEN/ 000(トリプル・オゥ)
印象的だけど落ち着いたアクセサリーが良いかしら。そんな方なら、シルクリネンで作られた、 000(トリプル・オゥ)のネックレスがぴったり。一重にしても、二重にしても使えます。
ポイント2:ボトムスにイン・アウトで印象操作
ボーダー柄が人気が高いのは、スカートにもパンツにも本当に良く似合うからというのも理由の一つなのではないでしょうか。ボトムスにはインせずに、そのままスカートに合わせるとリラックスした柔らかな雰囲気に。今回はZUTTOのミニパイルボーダーTシャツを着比べています。
気取らないのに、素敵なシルエット。
Rockmountのティアードスカートはボーダートップスとの相性も抜群で、高い人気を誇ります。
次に、すっきりした印象のボトムスインスタイル。
ボトムス:チノトラウザーズ BEIGE/ZUTTO ※現在サイズ3のみ販売中
同じボーダーTシャツでも、ゆったりした雰囲気と、すっきりした雰囲気の二種類が楽しめます。いつもなんとなくボトムスインしないでいたという方は、せっかくなら見せたい雰囲気に合わせて着こなしを変化させてみては?
ポイント3:レザーを足元に持ってくる
ボトムス:近日発売予定
スニーカー:スニーカー Tennis leather White
ボーダーをスニーカーでカジュアルに着こなしたい時も、スニーカーがレザーだとその素材感でスタイルがピリッと引き締まります。MaTeS(マテス)のレザースニーカーは仲がふかふかと気持ちよく、かといって靴が足の中で動いてしまわないホールド感で、どこまでも歩いていけそう。春夏の人気モノなら、NOVESTAのレザースニーカーもおすすめですよ。
レザースニーカー ITOH CLASSIC WHITE-GREEN/NOVESTA(ノヴェスタ)
カットソー:Le minor バスクシャツ 007 BLANC/ROUGE
こちらのコーディネートは、ボーダーにデニム、ミニバッグに、上質なレザーシューズを合わせています。PALANCO(パランコ)のウイングチップレザーシューズ BROWNは、紳士靴の製法で作られているものの、程よく丸みのあるシルエットで女性が履きやすい絶妙なバランスのレザーシューズ。グッドイヤーウェルト製法で作られている、こだわりの逸品です。
ウイングチップレザーシューズ BROWN/PALANCO(パランコ)
ポイント4:お顔まわりにアクセント
最後に、ボーダーを普通にしないために、ヘアバンドやハットがあればなお素敵に。シンプルなコーディネートにキリッとスパイスをきかせて、いつものボーダーが新鮮に見えます。
コットン×リネンヘアバンド/Highland2000(ハイランド2000)
強い風が気になる季節にはとってもおすすめのコットンリネンのヘアバンド。幅広のデザインですので、ショートカットやセミロングにはもちろん、ロングの方もアップスタイルに合わせれば、気になる後れ毛も抑えておけます。
暖かくなってきたら、夏を先取りしてフレンチシックな麦わら帽を被っても。
トップス:SERGE ボーダー バスクニット Latte x Watteau/ Letroyes(ルトロワ)
ハット:麦わらフレンチ カンカンフランスリボン/DAY STROWS(デイストローズ)
可愛らしい赤いリボンの麦わらハット。ワンピースに合わせるのは少し照れてしまう方でも、ボーダーのシャツや、ワークコートに合わせると程よく可愛らしさが抑えられて素敵なアクセントになりますよ。
麦わらフレンチ カンカンフランスリボン/DAY STROWS(デイストローズ)
【NEW MODEL】 GARAGE COAT NAVY
作業服をさっと羽織る、おしゃれ。縦長シルエットになるNUOVA MAX CONF(ヌオヴァ マックス コンフ)のGARAGE COATもボーダーと相性抜群です。
カットソーは一見同じように見えますが、素材となる糸や編み方が異なります。それぞれに適したお手入れ方法がありますので、お手入れ前には必ず洗濯表記を確認するようにしてくださいね。洗濯機を使う場合は、衣類の絡まり、ひっかかり、摩擦を防ぐために洗濯ネットに入れることをおすすめします。また、カットソーによっては、洗うことで縮みが生じたり風合いに変化が起きる場合がありますのでご了承ください。
こちらもご参考に。
【定番カットソー。長くきれいに着るために心がけたいこと】
また、カットソーに思わぬシミが付いてしまった、という際も慌てずに。お醤油や飲み物をこぼしてしまった場合は、濡らしたハンカチで、シミの上からトントンと叩くようにします。シミを衣服からハンカチに移すことが重要ですので、上からゴシゴシこすらないようにしてください。もしシミが落ちにくい場合は、ハンカチに少量の洗剤を含ませてトントンと叩くように落とします。その後、乾いたハンカチで水分を抑えてください。
まだまだあります。カットソー一覧。