日本には、生活に息づく伝統技法でつくられた商品がたくさんあります。
南部鉄器もその一つです。
南部鉄器の上質で重厚な質感と味わいのある深い色合いは、盛岡の自然がつくり上げた鉄資源と盛岡の人々が造り上げた技術が合わさった伝統工芸品です。
鉄の力
南部鉄器は、普通の鉄板で作られた調理器具に比べ厚く、熱をたくさん保有します。
ふんわりとしたその熱は、ゆっくりと全体に行き渡り焦がすことなく、素材にまんべんなく伝えて料理を仕上げていきます。
調理されたものは、鉄器の鉄分が多く含まれます。
昔の方は、南部鉄器の鉄瓶でお湯を沸かし、そのお湯でお茶を飲むことで、不足しがちな鉄分補給をしていたといわれています。
とても、魅力的な南部鉄器ですが、特長であり良さである形やその重厚感が逆に、私たちから縁遠いものとなってしまいました。
柳宗理さんのデザインは、その南部鉄器のもっている良さを日常で生かせるようになっています。
デザインの力
その他の余計な装飾はせず、南部鉄器の上質な重厚感と味わいのある深い色合いを生かし、持ち手の部分を大きく張り出すことで、重量のある鉄器を両手で持ちやすいように配慮しています。
底部は、さらに厚くし鉄器の良さである、火のあたりを優しくしてくれます。
そうやって出来た南部鉄器は、野菜などは水を入れなくても材料本来の水分だけで火を通すことができるので、旨みをそのまま閉じ込めた野菜本来の味を楽しむことだって出来ます。 煮物の場合は、一度沸騰させると保温効果でその後はとろ火で煮崩れなく、ふっくら。
こちらの鉄鍋は、10cmほどのたっぷりとした深さが心強い設計。野菜たっぷりの煮物を作ったり、黒豆を煮たりと、煮込み料理の必需品になりそうですね。
柳宗理さんは1934年に東京美術学校油絵科に入学後、フランス人建築家ル・コンビュジェの「装飾のないところに真の装飾がある」ことを述べた本を読み、自分の進んでいく道を見つけたといいます。
こちらの鉄鍋にも、まさにその柳宗理の「真の装飾」がデザインされているのです。
売る側の論理ばかりが優先される消費社会を批判し、自分の眼力を信じて行動してきた柳宗理さん。モダン・デザインブームが再び来ようとも、つねに変わらずデザインを愛し、現在も現役で「創造」を続ける毎日なのです。
サイズ | 幅約33×奥行き25×高さ11.5(cm) |
重量 | 約3.4kg |
素材 | 鉄鋳物(南部鉄器) |
デザイン | 柳宗理 |
箱有無 | 有 |
対応機器 | 食器洗浄機:×
IH:◯ 電子レンジ:× オーブン:◯ |
柳宗理は1915年東京に生まれ、千葉県我孫子の手賀沼の畔で育ちました。そばに白樺派の志賀直哉や武者小路実篤が住み、イギリス人陶芸家バーナード・リーチが週の半分過ごしていたその頃の柳家は、白樺派が集めた彫刻や絵が置かれ、様々な文人、芸術家が出入りし、西洋美術や日本の文学に触れられるところでした。
1934年、宗理は東京美術学校油絵科に入学。フランス人建築家ル・コルビュジェの「現代の装飾芸術」を読み、装飾のないところに真の装飾があることを述べたその本に、宗理は自分の進んでいく道を見つけます。
終戦後は工業デザインに着手し、1952年には毎日新聞社主催の第一回工業デザインコンクールで第一席に入選。その後、柳デザイン研究会を設立します。手掛けたデザインは、「バタフライ・スツール」や照明、オート三輪、陸橋、オリンピックの聖火台などと幅広く、ニューヨーク近代美術館(MoMA)やルーブル美術館などでは作品が永久保存されています。
商品 | 価格(税込) | 在庫 | 個数 | |
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