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大切にしたいと思える槙田商店の長傘

By ZUTTO バイヤー担当 in 自然とともに — 2026.09.17
大切にしたいと思える槙田商店の長傘

一本の傘ができるまで

少し骨が曲がっていても、生地が色褪せてきても、「まだ使えるから」と、そのまま持ち続けることがある傘。

どうせ長く付き合っていくものなら、はじめから大切にしたいと思える傘や修理ができる傘を選ぶのが良いと思い、今回ご紹介するのは槙田商店の長傘です。

「傘」という字をよく見てみると、一つの屋根の下に、たくさんの人が土台の上に集まっているような形をしています。実は一本の傘ができあがるまでには、実際に、たくさんの人の手が関わっています。糸を染める人、生地を織る機屋さん、裁断する人、縫う人、傘を仕立てる傘職人――それぞれの仕事が積み重なって、はじめて一本の傘になります。(槙田商店HPより一部引用)

槙田商店とは ― 世界でも珍しい、一貫生産の織物工場

槙田商店 山梨県西桂町 産地の風景
富士山を望む、織物産地・山梨県西桂町の風景

槙田商店は、生地を織ることから傘の組み立てまでを、すべて自社で手がけるという世界でも稀有な存在です。通常、傘づくりは「生地を織る」「骨を作る」「縫製し組み立てる」という工程がそれぞれ別の会社が担うことが多く、分かれるほどコストはかかり、品質の管理や改善も難しくなっていきます。

槙田商店は昭和30年頃から傘づくりを手がけ、今日まで一貫生産を守り続け「高品質なのに、うれしい価格」の製品を作ります。

これを支えているのは、糸を染める手、生地を織る手、裁断する手、縫い上げる手。一本の傘が仕立て上がるまでには、槙田商店という屋根の下で、何人もの職人の手がかけられています。

傘ができるまで ― 手から手へ

生地は、国内でも数少ない140cm幅の大きなジャカード織機で織り上げられ、撥水や防水加工が施されます。それから、裁断・透き見(すきみ)・中縫い・中綴じ・仕上げ・手付けという各職人の手作業を経て、一本の傘が完成します。

槙田商店 ジャカード織機で生地を織る様子
大型のジャカード織機で、傘生地を織り上げる
  • 裁断:革切り包丁を使って、4枚重なる生地を一度に切り出す、力のいる仕事です。
  • 透き見(すきみ):織りキズや汚れなどが無いか上下から光を当て検品します。
  • 中縫い:8枚の生地を合わせて円をつくる工程。傘を広げた時に生まれる美しい曲線は、この中縫いの技術によって生み出されています。
  • 中綴じ:生地と骨を縫い合わせる工程。細かい作業を、効率よくこなす技術が求められます。
  • 仕上げ(アイロン):しわを伸ばして見た目を整え、最後はきれいな折り目でたたみ上げる。その一手間で、より美しい仕上がりです。
  • 手付け:ハンドルと骨がしっかり外れないよう、内側に紐を巻きつけて固定する。細部にまで宿る、ちょっとした工夫です。
槙田商店 裁断 木型を使った作業
裁断:木型を使い、生地を正確に切り出す
槙田商店 中縫い ミシンでの作業
中縫い:8枚の生地を合わせて円をつくる
槙田商店 中綴じ 生地と骨を縫い合わせる
中綴じ:生地と骨を縫い合わせる、細やかな手仕事
槙田商店 仕上げ アイロンをかける様子
仕上げ:アイロンでしわを伸ばし、きれいな折り目でたたみ上げる
槙田商店 手付け ハンドルを取り付ける作業
手付け:ハンドルと骨を紐でしっかりと固定する

こうして、たくさんの職人の手によって、一本の傘が仕立て上がっていきます。専門の仕事に就く人の手は、長年、同じ道具を握り、同じ動きを繰り返してきた年月が刻まれているように見えます。道具を握り続けてきた力強い手のひら。細かな作業を繰り返す器用な指先が、こうして一本の傘を仕立て上げているのだと取材を通して感じます。

細巻き傘の美しさ ― 閉じた姿にこそ、こだわりが表れる

生地そのものの美しさも魅力です。糸を一本一本染めてから織り上げる「先染め織物」だからこそ、色や柄に立体感と深みが生まれ、雨に濡れると色がより鮮やかに際立ち、光を透かすとまた違った表情を見せます。長く付き合う傘だからこそ、一過性のトレンドではなく、何年経っても飽きずに手に取りたくなる色柄を選びたいところです。

槙田商店 細巻き傘 3本並べて
美しく細く巻き上げられた細巻き傘

傘の良さは、開いた時だけでなく、閉じた時の姿にも表れます。細く、美しく巻き上げられた細巻き傘は、持っているだけで気分が上がる佇まいを持っています。

手仕事が活きて美しく整った傘が完成することも学ぶ取材でした。

槙田商店に聞く

一貫生産されるプロから見て、傘を選ぶ時に重視する点は?

ご自身の生活スタイルや、何を優先したいのかを考えて選ぶのが良いと思います。乗り物での移動が多い方には、ワンタッチで簡単に開けるジャンプ傘がおすすめですし、長傘はシルエットの美しさも特徴のひとつなので、手開きならより上品な印象を叶えます。使いたいシーンや大切にしたい機能性を、簡単にでも整理できると選びやすくなります。

他の傘メーカーにない、槙田商店様ならではの強みは?

傘生地の美しさと、自社でデザインから製織や傘の組み立てまでできることです。槙田商店がある山梨県の西桂町(にしかつらちょう)周辺は、古くから織物の産地で、特に細番手・高密度の生地を得意としてきました。先に染めた糸で織る、先染織物(さきぞめおりもの)を手掛け、色の奥行感や光沢感の美しさは、多くのお客さまから喜びの声をいただいています。デザイナーとそれぞれの職人たちがおり、何台もの大型電子ジャカード織機を保有している会社は、世界的に見てもとても稀有な存在です。こうした一貫性は、製品のブラッシュアップや新規開発にも役立てられています。

傘生地、製造時のこだわりについて

傘生地を織るとき、実は使える色数や織り方に制限があります。その中で、いかに思い描いた通りに表現できるかが腕の見せ所のひとつです。製造については、仕上がりを意識しながら各工程をこなし、裁断や縫いの作業ではミリ単位の調整が必要になります。道具も手入れをしながら大切に扱っています。

傘を長く愛用するにあたって、実はNGな扱い方は?

開きにくい傘を無理やり開くのはNGです。生地や傘骨に負担が掛かってしまいます。開く前に、左右に軽く振って生地をほぐすと開きやすくなります。石突(傘の先端)で地面をトントンと叩いたり、水滴を払うためにクルクルと回すのもNG。水滴は開閉する動作で払ってください。また、濡れた状態の傘を手で触ると、皮脂などにより撥水効果が低下してしまうため、閉じるときなどはご注意ください。

傘の修理を受けていて、多い事例は?

傘骨や中棒(シャフト)の損傷でのお問い合わせが多いです。折れや曲がりの原因はさまざまですが、なるべく負担を掛けない扱い方を参考にしていただければ幸いです。

保管する際に注意した方がいい点や工夫は?

直射日光は避けて、通気性の良い場所に保管してください。傘生地の劣化や褪色、傘骨の傷みの原因になる場合があります。雨傘か日傘かは関係ありません。特に夏場の車内での保管は避けてください。高温による損傷が起こる場合があります。

傘が濡れた後のお手入れ・防水スプレーについて

濡れた後はそのままにせず、しっかりと乾かしてください。ニオイやサビ、カビの原因になります。乾燥させるときも直射日光は避け、通気性の良い場所で陰干ししてください。防水スプレーは、使用できる素材かどうかを事前に確認してからお使いください。使用時は換気など安全面にご注意ください。

買い替えではなく、直して使う選択

安価な傘の多くは、骨が折れたり生地が傷んだりすると、修理という選択肢がなく、買い替えるしかありません。槙田商店の傘は国内で仕立てられているからこそ、修理という選択肢を持っています。

骨が折れても、金具に不具合が出ても、直しながら長く使い続けられる。この安心感があることで、傘との付き合い方そのものが変わります。「壊れたら終わり」ではなく、「直しながら育てていく」もの。修理もまた、仕立てたときと同じ職人の手によって行われるからこそ、生まれた場所に戻すような安心感があります。そう思えるだけで、雨の日の憂鬱な道具から、大切な相棒へと変わっていきます。

贈り物としての長傘 ― 「大切にする道具」へ

一本の傘の美しさの裏には、一人ひとりの職人の手仕事がありました。だからこそ、壊れても直して使い続けたいものです。

傘は、雨が降った時に私たちを助けてくれる存在で、それを誰かに傘を贈るということは、そうした想いも込められる気がしています。

職人の手を経て仕立てられた一本を、母の日、退職祝い、新生活のお祝いなど、大切な人の助けになる贈り物としてお選びください。

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美しい先染織物生地を引き立てるハンドル。先染めツイル細巻傘は、元々槙田商店が手がけている傘ですが、より品良く、クラシックな雰囲気が引き立つように、別注でハンドルを付け替えていただいたものです。流行り廃りのない柄との組み合わせで飽きのこない傘にしています。憂鬱な梅雨や雨の日も楽しく、鼻歌を歌いながらお出かけしたくなる、そんなかわいい相棒になってくれるはずです。

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