ずっと使いたいモノ、置いてます。

小説好きに送る

直感で買ったアメリカ古着のTシャツの中には、日本でいう観光客向けに浅草で売られている、いわゆるお土産ものだったことがあります。見知らぬ土地のロゴや、海外のロックバンド、有名大学の校章などがデザインに使われているTシャツだったり、その意味を知った時には少し恥ずかしい気持ちになったという人もいるのではないでしょうか。
それでも魅かれるのは、良いデザインだったからで、それを自由に楽しめるのがファッションなんだなと思います。
Tシャツは、洋服の中でもとりわけ自由なキャンバスのようで、描かれるモチーフも無限。ワクワクする夏のお買い物です。過去のちょっと恥ずかしい経験からも「そのTシャツかわいいね」「おもしろいTシャツだね」と言われた時に、これはね。とそのTシャツの話ができるのもいいなと思い、ご紹介するのがNYブルックリン生まれのOUT OF PRINT（アウトオブプリント）です。

OUT OF PRINT（アウトオブプリント）は、トッド・ロートンとジェフリー・ルブランによって設立されたTシャツブランドで、 二人はスポーツチームやスーパースターが好きな人にとってデザインされたTシャツがあるように、本が好きな人にもお気に入りの本をデザインしたTシャツがあってもいいのではないか。 誰にとっても思い出の本があって、それは人生の中で持ち歩くことはなくてもTシャツなら年齢を超えていつになっても着ることが出来る。そう考えたのが、OUT OF PRINT（アウトオブプリント）の始まりです。

少女の目を通して街を見る

サンドラ・シスネロスの作品「マンゴー通り、ときどきさよなら」。プエルトリコやメキシコから移民が集まるマンゴー通りで育つエスペランサという女の子が主人公の掌編集です。読了するころにはエスペランサの繊細な感性を通じて、文化と言語が入り混じる移民に囲まれた土地での日常を見たような気持ちになる、そんな小説です。こちらのTシャツ THE HOUSE ON MANGO STREET「マンゴー通り、ときどきさよなら」は、まるでエスペランサが窓からこちらを覗いているかのようなデザインです。

チャコールグレーの生地にパキっと書かれた「THE HOUSE ON MANGO STREET」の文字はコーディネートに存在感を与えてくれます。着丈長めの形で、デニムだけでなくスカートにもあわせることができるので、コーディネートにアクセントがほしい時などにも重宝します。非常に柔らかい手触りでしっとりとして肌触りがよく、春夏のTシャツを楽しむ時期にも心地よい素材感も魅力です。

思い出の本、愛着がわくTシャツ

1984年に設立されたOUT OF PRINT（アウトオブプリント）は、「本を着る」をコンセプト として数々の小説の表紙をモチーフにしたTシャツを作ります。
斬新なコンセプトを持つOUT OF PRINT（アウトオブプリント）は、Tシャツに付属のタグが、図書館の貸し出しカードを思わせるデザインになっているという、コンセプトだけでなく、ブランドの遊び心を垣間見ることが出来、アートやファッションで注目のブルックリンのユニークなアイディアを感じます。

作られるTシャツは、本を大切に手元に置くように、長く着てもらえることを目的として、ユーズドウォッシュ加工を施し、柔らかい生地にして肌触りの良さにこだわり、着込むことでより風合いが出るようになっています。
また、OUT OF PRINT（アウトオブプリント）は、着る人だけでなく、ファッションを通して文学の面白さを広めるためにも、本を読めない環境にある地域を変えようと活動に取り組み、Tシャツが一枚売れるごとに本を一冊アフリカの恵まれない地域に寄付するという取り組みを行い、文学を通して豊かな創造性を育みながらも、社会問題に貢献するという過去から未来につながるブランドです。

デザインや色の好みでいつものように直感で選んだTシャツも、それは、名作文学の装丁デザイン。そのデザインにもストーリーがあり、本を手にするきっかけになる可能性を持ちます。また一枚のTシャツを誰かが身につけることで、また他の誰かに一冊の本を届けるというストーリーが生まれるTシャツです。
いつものTシャツ選びとちょっと違って、新しい選び方が出来るTシャツ。
好きな本の装丁デザインを選ぶのも、知的でより愛着が持てる一枚に。 また、目に止まった好みのデザインのTシャツをきっかけに、名作文学に触れるというのも新しい発見です。こうしたOUT OF PRINT（アウトオブプリント）のTシャツは、服を着ることだけに留まらない面白さがあるTシャツです。