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Reports 010　人と環境にやさしいシューズをつくる人々

EL NATURALISTA (エルナチュラリスタ)やduckfeet(ダックフィート)など、快適な靴を提供することだけにとどまらず、地球環境との共存を考え、靴を履く人々にそうしたメッセージを送り続けるメーカー、シードコーポレーション。
「100年後の地球に必要とされる会社」を理念に掲げ、今後の私達の暮らしを足元から支えてくれることを感じるメーカーさんにお話を伺ってきました。

■お話を聞かせてくれた人
株式会社シードコーポレーション　新村直人様

雄大な自然に囲まれる土地、北スペインのナヴァーラ地方は、古くから伝統を守りながら靴の産業が発展した街です。その土地で「エル・ナチュラリスタ」は誕生しました。
人々の幸福を一番に考え、自然、環境、社会問題解決に動くブランド。ロゴマークにもなっている、シンボルであるカエルはキレイな水にしか生息できない生き物と言われています。
そのカエルをロゴにすることで、キレイな水を守る、環境にやさしい靴づくりをするという意味を込めています。

Q1. 一度履くとその履き心地の良さについ毎日履いてしまうエルナチュラリスタの魅力は何でしょうか。

履き心地はもちろんですが、一足、一足の革の風合い・色合いが異なるところです。その色は履くほどに変化し、自分の足に寄り添うように風合いを増していきます。自分だけの一足となるところが、毎日履いてしまう理由です。

Q2. エルナチュラリスタが作られたきっかけを教えて下さい。

エルナチュラリスタは北スペインはナヴァーラ地方で誕生しました。
この地方は19世紀よりエスパドリューという農夫のための靴の製造で栄えた歴史があります。

この土地で現在の経営者の父親がアウトソールの製造をしており、靴づくりは幼い頃から身近な存在でした。そして、いつしか「世界中どこにもない、自分たちの靴を作りたい」という思いからエルナチュラリスタが2003年12月に誕生しました。

会社はパンプローナ。パンプローナは緑に溢れた美しい街。400年以上昔からつづく牛追い祭りなど歴史も古く、とってもチャーミングな街です。

Q3. エルナチュラリスタのこだわりの素材や製造について教えて下さい。

エルナチュラリスタは、エコ・コンシャスな靴づくりにこだわっています。
天然染料であるベジタブルを使って皮をなめしていますが、性質上、均一の色に仕上げることが難しいため、特殊な薬剤を使うこともあります。
なぜならば、100%のベジタブルタンニングレザーを作るためには、大量の水を汚さなければならないからです。
それを「100％エコではない」という人もいます。

まずは、自然に対して敬意を払い、全ての人達に、本当の事を伝えることがエルナチュラリスタの哲学と言えます。

Q4. エルナチュラリスタの靴の製作工程は一つ一つ手作業とお聞きしましたが、スペインではどのくらいのスタッフが働いていますか。

エルナチュラリスタの靴はすべて自社工場でつくられており、70〜80名が働いています。

Q5. 自然界のあらゆるモノからインスピレーションを受け製品開発をされているとのことで、これまで世界のどういった土地などをデザインに取り入れていますか。

シーズンによって、デザインは異なりますが、
主にソールにデザインを取り入れ、ナスカの地上絵をモチーフにしたソール、岩の形、アンモナイトをモチーフにしたソールなど、大自然の中から取り入れたソールなどがあります。 （※エルビアジェロは、シンプルなノーマルソールです。）

Q6. エルナチュラリスタが世界の国々を支援するきっかけになったのは、どういったことからでしょうか。

経営者の妻が、6歳〜17歳まで両親の仕事の都合でメキシコに住んでいました。その時に、自分の家族と貧困に脅かされる現地家族の格差を日々、目の当たりにしました。
その影響が大きく、彼女は大学を卒業後ペルーの子供を支援するNGO団体で働き始めました。

また、ブランドを立ち上げてからは、CEOのパブロの影響が大きいです。彼は情熱的で、人に対して、いつでも真剣に関わっていきます。
そうした二人がいて、地球上で困っている誰かのことを考えるプロジェクトがスタートしました。

現在ではAtauchi project（アタウチプロジェクト）という教育支援活動を行っています。「一人でも多くの人が笑顔になれるように」靴を1足購入すると0.1ユーロがNGOに寄付されます。寄付金はペルーの養護施設を作ったり、タンザニアでの教育・職業訓練事業のために使われたりとさまざま。
また、「unicef」や「Save the Children」など他団体とも提携することで支援の幅を広げています。

Q7. エルナチュラリスタはどういった方に履いて頂きたい靴でしょうか。

エルナチュラリスタは人と環境にやさしいシューズです。

自然を愛し、心地よい人生を共に歩んでいただける方に履いて頂きたいです。

Q8. 最後に靴作りの喜びと今後の夢などお聞かせ頂けますでしょうか。

エルナチュラリスタの靴を通じて、人と地球に優しいライフスタイルを提案し、その人達と共に人生を歩んで行きたいと考えています。

用語の解説

Atauchi project（アタウチプロジェクト）

｢多くの人々が小さな行動を起こせば、変化はグローバルに起きる｣をモットーに、エルナチュラリスタが2004年より推進している教育支援プロジェクトです。｢小さな行動｣とは、エルナチュラリスタで販売されたすべての靴から0.1ユーロずつ寄付すること。集まったお金は、ペルーの養護施設やタンザニアの教育/職業訓練支援に使われています。

取材後記

取材には、運河沿いの倉庫をリノベーションしたという開放的なショールームにお邪魔してきました。
靴が並ぶ木棚、ジュートの大きなカーペット、木くずのディスプレイ。天井高く、川風が吹き抜ける、ゆったりとした空間にエルナチュラリスタの靴が並んでいました。

シードコーポレーションのスタッフの方々も、スペインで靴を愛して作るスタッフの方々も、ただ歩く、ファッションの一部というだけの靴ではなく、その先の未来を考えて、靴を作り、履き、前に進んでいるのではないかと思いました。

履き心地の良いエルビアジェロには、そうした世界中の幸福を考える人達の熱く強い思いがあることを知る取材となり、この靴を履き前に進むことが特別な気持ちにさえさせてくれる気がしました。

◇EL NATURALISTA (エルナチュラリスタ)
http://www.elnaturalista.com/ja/

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